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転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
第二王子アルヴェルト・アルシェリオン

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24話 模擬戦

広間は緊張に包まれていた。


クラリッサはゆっくりとパワーアンクレットに手をかけた。


彼女が手首の装置を外すと、重みが一気に地面に落ちた。


ドゴォッ……


床板がわずかに沈み、乾いた地面に音が響いた。

側近は思わず後ずさり、目を見開いた。


「足も外してと……」


ドゴォッ……!


王子は息を呑む。


異常だった。アンクレットを外しているだけのはずなのに、完全に何かが異常だった。


異質なのは、それだけではなかった。


なぜか模擬剣が何本も用意されていたのだ。


だが理由はすぐにわかった。


バキィッ!


「あら?またグリップを握りつぶしてしまいました。これだから剣は。ぶつぶつ……」


その場にいる誰もが、恐るべき、名状しがたい何かを見ていた。





クラリッサの剣の技術は大した事がない。

一目見ればそれは見ればわかった。


その一撃は凡庸極まりない。

剣を振りかぶり、側近騎士に対して、手を抜いているかと思う程の速度で振り下ろす。


確かに、普通の女子供よりかは全然動けているだろう。だがそれだけだ。


側近騎士はその剣撃をさける。

そして返す刀で一撃。


直撃するはずだったその一撃は、クラリッサの指2本によってつままれていた


「……は?」


バキ!!!


「ぐっ……!」


側近騎士の剣が、クラリッサのピンチ力によって、力任せに折られた。


側近の顔が青ざめる。


「な、なに……!?」


「はい一本。」


気づけば、首に剣を当てられていた。


「こんなのは──!!!」

「……アラン。もうやめておけ。」


王子の声は、怒号でも悲鳴でもなく――本能の底から絞り出された制止だった。


その声音に、側近アランははっとして振り返る。


王子は、クラリッサの足元を指していた。


アランの視線がゆっくりと動き――そこで初めて、その理由を理解する。


大地が、割れていた。


クラリッサが何気に踏み込んだ一歩。

たったそれだけで、地面には蜘蛛の巣状の亀裂が広がり、踏み込んだ中心点は、まるで重い槌で殴りつけたように陥没していた。


アランの喉がひゅっと鳴る。

「……う、そだろ……?」


人間の踏み込みでこうはならない。


騎士団でも有数の実力者と謳われた自身の全力の踏み込みでも──いや、人間にできる事じゃない。


クラリッサは少しだけ困ったように肩をすくめた。


「すみません。剣って苦手なんですよね。道具や地面にも気を使わないといけないので。」

「……人外の類か……」


目の前の少女は、「伯爵令嬢」ではなく、災害。


「ところでアラン様。」


アランはビクッと体を震わせる。


「いい体してますよね?肩周りがちゃんと働いてるし、体幹も悪くない。騎士団の訓練で基礎がしっかり叩き込まれているんですね!」


褒められているのに、まったく嬉しくない。

アランの背筋に冷たい汗がつーっと流れた。


クラリッサは一歩、ついさっき地面を割った足で近づく。


「――鍛えませんか?」


「えっ、あっ、その……」


「大幅にビルドアップができます!!今のスピードを維持したまま、パワーとウェイトだけをそっくりそのまま2倍にできます。ちょっと死線をくぐるかもしれませんけど、筋肉の為なら安い物ですよね!!メニューを作りますね!!!」


「え、え、遠慮します!!!!!!」





その後、王子がクラリッサに告げた。


「デビュタントの後、あれから私がクラリッサ殿の為にできる事を考えていた。

私の権限を用いて、筋肉の為の大会を開催してもいい。」


「え?」




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