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転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
エルフ領

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119話 羽虫との再会

魔術大会会場。


石と木で組まれ、太い根のような構造が外壁を支える。

壁面には生きた蔦が絡みつき、屋根は緩やかな曲線を描きながら枝葉へと溶け込んでいく。


半円状に開かれた外周には、段状の観客席。


各所に設けられた出入口は、馬車ごと出入りできるほどに大きい。


中央には、巨大な演習場。


結界の刻印が、幾重にも重なって刻まれているのが遠目にも分かる。




エルフの指示に従い、クラリッサは進んでいた。

高位魔族シトリーと共に。


アルヴェルトやリーシャとは、一度別れている


案内された、その一室。

来賓席。


グランディール家もまた、大会に招待されていたからだ。


「クラリッサ・グランディール。

馴れ馴れしく話しかけるな。

筋肉がうつる。」


「つれないわねえ。

あんなに泥試合した仲なのに。」


「仲などない。

泥仕合ってなんだ。あれは殺し合いだろうが。」


高位魔族シトリーは、角と羽を隠せば褐色の淑女にしか見えないため、グランディール特産の服装を着て、そこにいた。


マリアは完全にシトリーの出方を伺っていた。


シトリーは高位魔族。

なぜなら完全にそれは魔族。


それも以前、極めて最近に死闘を繰り広げた女魔族。



「おおおおおお嬢様!!!この人!!

魔族四天王シトリー様では!?!?」


「そうね。」


クラリッサは、しみじみを思いを馳せる。

苦戦した事は、記憶に新しい。

(むしろこいつよりも、こいつのペットのレヴィヤタンの方が厄介だった。)


「そんな方が、なんでいるんですか!?!?!?

ここってグランディール家の来賓席ですよね!?!?」


「そりゃ招待されてるからじゃない?

招待されてる組織の中の一員なら、同行すればいると思う。」


「そういう問題じゃないです!!!!

あああああ危なくないですか?!!?!」


「あれ??マリアに話してなかったっけ??」



「あ。セドリック様ー」


「へ?」


突然、魔族シトリーの態度が豹変する。


視線で周囲を凍らせていたシトリーは、とてとてと小動物のような足取りで駆けていく。


軽い足音。

弾んだ声。

隠しきれない喜色。


かわいらしい走りで、来訪した人物の所へかけてき、自然に頭を差し出した。

撫でられている。


すらりとした体躯。

整った顔立ち。

どこか気だるげな微笑。


「やれやれ……また君かい。

こまったものだね。」


セドリック・グランディール。

クラリッサの兄だ。


シトリーの自然な動作で頭を差し出す様子に、マリアは完全に固まっていた。


「……」

マリアは二度見後、やはり完全に固まっていた。


理解が追いつかない。

脳が圧倒的に理解を拒否している。


「シトリーは、セドリック兄上に求婚してるのよ。

なんか懐いちゃって。

羽虫を義姉さんと呼ぶ日がくるかもしれない。

すごく楽しみね。」


「ないと思います!!!

それだけはないと思うんですが!?!?

ええええええ!?!?!?!

なんで!?!?!?!

なんでこんなことに!?!?

あと一体、何が楽しみなんですか!?!?」


「いや、あのだらけきったサキュバスの肉体を、苛め抜いてマッチョにできるかと思うと、ゾクゾクするなって。」


「刺されますからね!?!?

お嬢様って!!

そのうち!!」


「もう、ほうぼうからクレームきてるから全然大丈夫。

全部突っ返してきたし、これからもそうするから。」


どやっている



クラリッサ達の荷物を運びながら、シトリーは言った。


「久しいな。侍女マリア。

今は私もセドリック様のメイドをやらせてもらっている。」


「いえ……そうですね。

グランディール家のメイド……同じ組織なんだ……

というか同じ業種……」


「よろしく頼む。

先輩。」


マリアは遠い目をした。

シトリーは、荷物を持ちすぎてよろけた。

クラリッサはため息をつく。


「シトリー。

あなたって力がないんだから、無理するのやめなさいよ。

ほら、荷物くらい自分で持ってくわよ。

荷物を返しなさいよ。」


「うるさい黙れ。

殺すぞ。」




魔術学会は、日を跨いでのスケジュールとなる。

来賓者には、宿泊施設が用意されていた。


荷物は、そこに運ばれた。


巨大な古木が、くりぬかれそのまま“部屋”にしたもの。

幹には扉があり、内側はくり抜かれて空間が作られている。

外からは一本の木にしか見えない。


部屋の中、クラリッサとマリアは、シトリーと向き合っていた。

明らかにシトリーは、不機嫌そうな表情をしている。


クラリッサは、マリアに説明をする事にした。

状況説明は大事だったからだ。


お茶を用意する。


「シトリーって前回の件で魔族から追放されたのよ。

国際条約ガン無視でトレザール領で暴れちゃったからね。

途方にくれてるところをセドリック兄上が拾ったの。

今は彼女はグランディール領に。

そして彼女の一族は、トレザール領にすんでる。」


「シトリー様の種族って確か……!?

ていうか、一族丸ごと……!?!?」


「サキュバスなのよ。

そうなのよ。

一族を丸ごと抱え込んだから、だからトレザール領の一角が、大人が喜ぶお店にならざるを得なかった……

不覚だったわ。下品だし。

嫌いじゃないけど。」


「それ……セドリック様が、たぶらかされただけなんじゃ……」


「シトリーは今、セレスティアによって権能を封じられているから魅了は使えない。

そこは安心していい。

セレスティアは私より頭がおかしいから信用できる。

それにシトリーって魔術に対しては、すごく真摯だからね。

なんだかかんだで気が合ったみたい。

セドリック兄上も、魔術の研究に余念がないし。」


「お嬢様……お嬢様は、それでいいんですか?

魔族ですよ?

人族と魔族が結婚なんて……前例が……」


「私はそれでいいと思うわ。

私だって、筋肉に対して真剣なら、ゾンビとだって尊重し合える関係になれると思うから。


大事なのは、自分にとって大事な事をもつ事だと思う。

種族とかなんて、関係ない。

だって種族にこだわって筋肉の出力が上がるなら、世話ないから。

まあそれを理由にちょっとは上がりそうだけど、再現性の問題で採用はしたくない。

筋肥大は種族間の問題より絶対に重い。」


「お嬢様。

その上で、なおもしシトリー様が暴れちゃったら?」


「殺す。」




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