表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
後編。海合宿収拾編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/133

109話 海合宿イベントエンディング

少女が、洞窟の地べたに正座していた。


きちんと背筋を伸ばし、手を膝に置き、妙に行儀よく正座。


その周囲には、泉の水が静かに揺れている。


少女の髪は水のように透き通り、空気そのものが彼女に従っているようだった。


水精霊。


神に等しき、古き精霊。


──この姿は仮初。

(神のうつしみ。

生物との交流用の生体模倣ユニット。)


仁王立ちで腕を組み、クラリッサはその生態ユニットを威圧していた。


──言うだけは言う。決めていたから。

(不敬だろうか、神罰だろうが、なんだろうが知らん。)


「ねえ。

あなた水精霊よね。神よね。

なんで、リーシャを暴走させたの。

世界終わっちゃうでしよ。

文句の一つや、二つや、百くらいは言わせてもらうから。」


「……面目ありません。」


水精霊は怒られる子供みたいに、ちょっとしゅんとしている。


「休眠から起こしてくれた人に、力を渡すのはわかる。

だけど、はしゃぎすぎ。

世界壊れかけたんだけど。

なんで力を渡す前に、それが制御できるかわからないかな。

剣を持つ筋力を持たないものが、剣をもったらどうなるかなんてわかるでしょ?」


「はい」


クラリッサの説教は続いた。

死にかけたので私怨もあった。


パワハラ気味のOJTが展開されていた。


「精霊なんだから、ちょっとは、超常パワーを制御にわりましょーね。

チェック項目ないの?

暴走したとき止める仕組みのフェイルセーフとか!

局所運用試験とか!!

報連相とか!!!

そんなん、人類ですら社会のいっちゃん最初に教わる業務の基礎だから!!!!」


完全におまいう案件。



水精霊は

ギャン泣きしだした。


「だって。

だって!!寂しくて……」


「お嬢様!!ひどいです!!

こんな少女をいじめるなんて!!」


「いや、何億歳とかだけどそいつ。

その姿。擬態……

というかマリア。

なんで、拳を握りしめて完全にマジになってるのよ。」


「何億歳でもダメです!!

心を見てください。」


「あのねえ。

そう言って人は人を、簡単に騙すから。

何見てきたのよ今まで。

貴族社会をずっと見てきたでしょーが。」


「この子は大丈夫です!!」


「ねえセレスティア。

マリアって神を子供扱いしてるんだけど。

これは不敬じゃないの?」


「うわ。お嬢様!!それはずるい!!

セレスティア様の見解を聞くのはずるい!!」


「だって、マリアが正論を言うんだもん。」


「お嬢様、実はものすっごく図星だったんじゃないですか!?!?

水精霊様の機嫌損ねたら、世界滅ぶって教えてくれたのお嬢様じゃないですか!?!?」


「対話の為に、水精霊はわざわざ生体ユニットを用意するんだから、このくらいじゃ滅ぼさないから。大ジョーブだって。」


「そのクソ度胸はどこからくるでしょうか!?

それでも子供を泣かせていい理由にはなりませんから!!!」


「クラリッサ。

神も、自分の事を棚に上げて、子供にパワハラするあなたにだけは、指導とか言われたくないでしょーね。

水精霊も反省しています。

リーシャさんは、もう大丈夫みたいですし。」


「いーえ。ダメです。

リーシャが、良くても私がダメだから。

だからだめです。」


「すでに精霊は、わかっていますよ。

あなたに言われずとも。」


「そーですよ!お嬢様!!」


「うぅ……」

水精霊は、ぐすぐすと泣きながらマリアの袖を掴んでいた。


──いや、そっちになつくんかい。


(精霊って母性で攻略できるんだ……

リーシャも胸が大きいし、そんなもんなんだろう。

世界の真理って浅いわね。)


肩をすくめた。


「仕組み化してないから、こうなるんでしょ。

神のケアレスミスで世界壊れたんじゃたまったもんじゃないのよ。

神の寿命は長いんでしょ。

なんなら、同じような事がちょいちょいあったんじゃないの?」


水精霊は固まった。


──あったんだ。


「……仕組み化とは?。」


「休眠を防ぐ為の仕組み化。

設計図は書いたけど、ブラッシュアップが済んでない。」


レポートが差し出された。


セレスティアは思った。

いつ書いたんだよ。こんなの。


パラパラとセレスティアは設計図をめくる。


──なるほど。

(今回の災厄の復興計画を付随して、水精霊への信仰を集める仕組みを作る。

さらに信仰の循環を維持し、水精霊の休眠状態を予防。

信仰の季節イベントを分散配置し、祈祷の頻度を年間スケジュール化。

相変らず頭が切れる。)


だけど。


「筋トレ設備はだめです。」


「え?

なんで?」


「それがわたしが手を貸す条件です。

魔王戦線の二の舞にはさせません。」


「ひどいよセレスティア。

それはひどいって。

私、そのために頑張ってたまであるのに!!!」


「ひどくないです。

あなたが頑張ってたのは、友達のためではないのですか?」


「人は浮気する生き物だから。

それが神の用意した、人類の基本的な生物的設計だから。」


「だめったらだめです。絶対にだめです」



「セレスティアあああーーー!!!!」




セレスティアは去った。

クラリッサは絶望のあまり床にへたりこむ。

ぶつぶつ言っている。


「お嬢様。

聖女様、すごく頑なでしたね。」


「ひどい……

ぐっすん。

いいじゃない……ちょっとだけ聖女信者を丸ごとたらふく唆して、聖なる戦士を全員をマッチョにするくらいで、なんであんなに怒るのよ……

そのくらい、みんなやってるじゃない……」


「……」


誰もやってません。



「しょうがない……

せめて来るべき筋トレ大会の為のステージ設計だけでも、計画図に入れておこう……

用途不明な感じで。」


まだやるんだ。こりない。


そう思う、マリアだった。



そのレポートには大きな文字でこう書かれていた。


トレザール領。

大リゾート地計画。





水精霊は、マリアの袖を握ったまま、

そっとリーシャに聞いた。


「リーシャお姉ちゃん……きんとれ、ってなに?」


リーシャは少し考えた。


「……筋繊維と世界を壊す可能性のある、大人の嗜みかなあ……」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ