ギャルの幻想
腕章を付けて依頼人の向かいに座る。
いよいよ私も生徒会の一員なんだと実感させられる。
依頼人の男の子が写真を差し出す。
ハデな格好をした女子高生が写されていた、いわゆるギャルである。
『その人の、流さんの性格とか好みが知りたいんです!聞いてきてもらえませんか!』
呆れるしか無いわ。
『貴方その人のことが好きなの?』
依頼人が頷く。
『やめときなさい』
『まだ情報もなにも無いじゃないですか』
『恋愛なんてやるだけ無駄だからよ』
『哀抔さん?』
『なによ愛住君』
『銃刀法違反』
こんなことでマジックワードを使うのね、だけれどそのカードを切られるワケにはいかない。
『お引き受け致しますが、流さんやそのお友達がこの時間ドコにいるかお聞きしても?』
『図書館や保健室ですね、友達は確かテニス部だったかな』
見た目どおりのオンナってことかしら......
『率直にお聞きしますが、貴方ギャルが好みなんですの?』
男の子がコクりと頷く。
『ギャルといっても一口には語れません、どのようなギャルがお好きで?』
三冊程マンガを渡される。
どれにも共通するのは、出てくるギャルがオタクに優しく、余り男遊びをしていないのと周囲の評価を気にせず自分を貫く意思、後は度の過ぎた行為も平気で行う......か。
こんなの存在するのかしら......?
『もし貴方の好みと合致しない場合はどうするおつもりで?』
『その時は諦めます、あっでも一つでも好感の持てる所があったら気になってしまうかも......』
『わかりました、それでは少々お待ち下さい』
まずはお友達の話を聞きに行きましょう。
『昨日のことがあったから心配だったけど、案外マジメにやってるじゃん』
『まだ結論づけるには早い』
『大丈夫ですよ哀抔さんなら!』
『アレどこ行くんすか会長』
『哀抔さんを見てくる、ああみんなは依頼してくれた子と話してて』
流さんのお友達から話を聞く為、私はテニス部に向かう。
『アタシを呼んだのはアンタ?』
『急にすみません、私は哀抔符夜雨、生徒会副会長です、その活動の一環である生徒のことをお聞きしたいのです』
『そんなかしこまらなくていーって、バシバシ聞いてくれていーから』
『それでは、流さんの好みは?』
『......あの娘は異性だけよ』
『私が狙ってるワケじゃないわ、男の子に聞いてくるようお願いされたの』
『あーそー、あの娘が好きなのは、チャラい人かな、後筋肉質な人とよく遊んでる』
『次に性格をお聞かせ下さい』
『基本的にキツイけどオタクには特にキツイよ、後は割りと人に流されるとこがある、でも悪いことは悪いと言える、そんな奴よ』
『ご協力感謝しますわ』
『いーっていーって気軽に聞いてよ』
情報をまとめると、オタクに厳しくて男遊びもしていて、強い意思があるワケでも無く、良識自体は存在する。
依頼人の好みと正反対じゃないの。
だけれど本人にも会って見なきゃね。
確かこの時間は図書館や保健室に居るんだったわよね。
図書館に入り、辺りを見渡しても流さんの姿は確認できない。
図書委員の生徒に話を聞くと、流さんは男の子と保健室に向かったそうだ。
まさかね......
図書委員にお礼を言い、保健室に向かう、ダッシュで。
もしヤってる所に出くわしたらどうしましょう、いやどうするもなにも無いわ。
覚悟を決めて保健室に入り、流さんの名前を呼ぶ。
『あーしがどーかしたのー?』
カーテン越しに返答される、話し自体は出来そうね。
『私は哀抔符夜雨、生徒会副会長です、生徒会の活動の一環で貴女についてお聞きしたいのですが』
『んぇ?生徒会?あーしなんかやらかしたかな?』
『貴女のことを知りたがっている生徒がいるんです』
『全てをさらけだすつもりはないからね』
『それでは、貴女の好みの男性は?』
『んーあえて言うならー、自分でアプローチかけてこないのはタイプじゃないかな』
手厳しいわ、これは無理そうね......
『男性に求める物は?』
『とにかくグイグイきて欲しいかな、あとはカラダ?』
カラダってどういう意味かしら......?
『貴女の交流関係の傾向は?』
『こーりゅーかんけーのけーこー?ああハイハイ、男の子とばっかり遊んでまーす、その場のノリでヤってまーす』
あと聞くべきは......
『あっちょっと......そこは......』
流さんが小声で会話している?
そういえばさっきから顔が赤かったような......
気付いてしまった、流さんが今なにをしているか。
生徒会室に戻りましょう。
『哀抔さん!どうでした?』
再び依頼人の向かいに座る。
この人の趣味と合致しない以上、仕方ないわ。
『結論から言うと、やめておいた方がいいわね』
『ちょっと哀抔さん、どういうつもりなの!?』
少し黙っていなさい愛住君。
『理由を言うわ、貴方の理想とかけ離れていたのよ、誰にでも優しいワケでも無ければ男遊びもしていたし、ノリに流されてもいる見たいよ』
依頼人が目に見えて落ち込んでいる。
他人の恋心がどうなろうと私の知ったことではないけれど......
『でも一度声をかけてみても良いかもしれないわね』
依頼人が顔を上げる。
『彼女言ってたもの、自分でアプローチをかけてこないのはタイプじゃないって、一回やってみて気に入らなければ諦める、それで良いんじゃないかしら』
『あっありがとうございました!』
依頼人が去っていく、晴れた表情を浮かばせながら。
これで良かったのか、それは私には解らないけれど......
『初めてにしては上出来だよ』
『偉そうなこと言ってくれるじゃない生徒会長さん?』
『いやー恋愛を無駄なんて言うモンだからちょっと怖かったけど、うまいトコに落としたっスね!』
『意外と良い奴だな』
『ほら!大丈夫でしたでしょ!』
生徒会のみんなには評価されているようね。
『でもまだまだだ、そこで明日から生徒会メンバー一人づつと共同で依頼を受けてもらう!』
チャラ男と二人は嫌なのだけど。
『でもその前に合コンだ!』
あ?
この物語はフィクションです。
犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。




