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決闘が導く答え

 同居人の妹との死闘が終幕へと向かい歩く。


緊張を走らせる銃声と、それすらをも感じさせない無機質なナイフを投げる素振り音。


両者の攻撃。


届いたのは......


刃が砕ける音が響く。


私も愛住怜(あいずみれい)も突っ伏してはいない。


私が放った弾丸が仕留めたのは投げナイフ。


私とは別方向へ走り出す愛住怜(あいずみれい)に空かさず照準を定める。


だが疲弊した身体がめまいを起こし、照準を狂わせる。


発砲。


しかし当たらず、愛住怜(あいずみれい)は装飾ナイフを拾い上げていた。


狙い付けられぬ状態を追い討つ、ナイフでの攻め。


避けるので精一杯。


だがチャンスを(うかが)うのは忘れない。


私のナイフが落ちている方向へ(おび)き出し、再びナイフを手中へ収める。


お互い武器は同じ、それでも尚果敢(かかん)に攻められる。


やはり距離を取って銃撃するしかない。


つばぜり合いが発生。


押し負けるつもりは無いと言わんばかりの表情が真正面から作られている。


力比べに勝つことが私の目的では無い。


蹴った。


力の限りのハイキックを繰り出し、両腕で防御されるが、私がこの蹴りで生み出したかった状況は勝利では無く、一瞬の隙である。


防御したが故に生まれたこの隙に、周辺に叩き落とされたナイフを再び手に入れつつ銃を構える。


狙いは無論愛住怜(あいずみれい)


だが対象(ターゲット)は飛び上がった。


満月煌めく曇り無い夜、純白のドレスに彩られた天使か妖精に似たなにかは空中を舞い踊る。


もし観客がいたらその場にいる者すべてを魅了し、それを見る以外の行動を許していないでしょう。


だけれど私は違う。


照準は空中へ。


走って向かわれた方が辛かったでしょうね、的が定まらないんですもの!


(とどろ)く銃声、しかし血が流れ、撃ち落とされ行いてはいない。


両手にナイフを持って回転し、弾丸を弾いたのだ。


そのままの勢いで近づくそれに対し、二発ほど発砲してもまた弾かれるだけに終わった。


こうなったら!


回転の摩擦(まさつ)を痛みとして感じる一瞬、発砲しそれを弾かせ、その隙に刃を突き立てる。


視界に広がる鮮やかなる紅。


鮮血が吹き出し、緑生い茂る森林を無惨に彩る。


だが吹き出た鮮血の持ち主は愛住怜(あいずみれい)だけではない。


肉を(えぐ)る感触と大地を踏みしめる意思をねじ曲げんほどの痛み。


装飾ナイフが私の肩に、私のナイフが相手の片手に刃を突き刺し、血液を垂れ流させた。


私の血が返り、純白のドレスが紅に染まる。


私の純黒のドレスもまた同じ。


体内の紅を露出した代償の痛みに、平静を装った表情など困難なこと。


だが愛住怜(あいずみれい)は違った。


真顔。


血を垂れ流して尚顔を歪めない。


その在り方が、生き様が対象を幻想(ファンタジー)の類いに思わせる。


『あなたがここまでの腕をお持ちだとは思いませんでした』


『急になによ気持ち悪い』


『合格だと言っているのですよ』


『合格ですって?』


『あなたの復讐に(たぎ)業焔(ごうえん)にも迫る意思、敵であらばなんであれそのすべてを否定せんばかりの極氷(きょくひょう)なる眼差し、あなたは俗欲で兄さんの近くにいるわけではないようですね』


『そう言ったのだけれど』


『決闘でこそ真に人となりを理解出来るというものですのよ』


『生きづらそうねその考え方』


ほのぼのとした空気が生まれる。


とても先ほどまで殺し合いまがいのことをしていたとは思えない。


この空気に呼応したかのようなスマホの着信音、これは私のではない。


『はい、ああ兄さん、ええ、わたくしは大丈夫だから、ええ、夜は別の場所で、はい明日のほど、よろしくお願いいたします』


電話の相手は愛住(あいずみ)君のようだ。


『なにを話していたの?』


『兄さんと親戚様がわたくし達を心配していらっしゃったのでなだめていただけです』


『別の場所と言っていたけれど』


『お互いケガをしていますもの、このまま皆様方の前になんて、そんなはしたないことできません、ですのでわたくし達は別のホテルに泊まります』


『まさか血を垂れ流しながら街を歩くつもりじゃないでしょうね?』


『わたくしの執事に運転させますが、ひとまずここから出ましょうか』


森林を出る道中、特に会話を交えることはなかった。


殺し合っていたのだ、とても談笑なんてできるワケもない。


(れい)様、こちらです』


手を振って居場所を示す執事の後ろにある車は......


『またリムジンなのね......』


『当然です、わたくしが乗るのですから』


ドレスを着てリムジンに、ってのは気分は上がるけどね。


『出発の前に(れい)様、お手のほどを』


執事が(ひざまず)き、ご令嬢が手を差し出す。


愛住怜(あいずみれい)の手に包帯が施される。


本物の主従関係を今この眼に焼き付ける。


お兄さんが緩いだけかしら。


やっぱりこの兄妹、全然似てないかも。


哀抔符夜雨(あいなどふよう)様ですね、あなた様もこちらへ』


執事さんに巻き付けられた包帯は締め付けが強くも温もりを感じさせる優しさがあった。


『ではお乗りください』


執事さんのお出迎え、私が(けが)れを知らなければクラスメイトに自慢でもしていたのでしょうね。


素直に乗車し、愛住怜(あいずみれい)の向かいに座る。


『これからよろしくお願いいたします』


『殺し合っておいてそんなの出来るワケないでしょ』


『あなたは多少なりとも兄さんに才能を買われているはず、そんなあなたならそれくらいわけないと思いますが』


『言っておくけど、私愛住(あいずみ)君とは長く同居するつもりなんてないから』


『なにを言っているのですか?よろしくお願いしたのはわたくしに対してですよ?』


『どういう意味よ』


『明日からあなた達の高校に転校しますので』


コイツまともに学生生活送れるのかしら......

この物語はフィクションです。

犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。

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