殺し合いのつもりで
私、哀抔符夜雨と下杉雷太郎の遊びと言う名の戦いが幕を開けた。
私の番。
カードを二枚、新たに手札に加える。
この勝負、出し惜しみはしてられない!
『エピソードカード、すべての始まりを発動、私のデッキから恋人のカードを捨て札に置き、相手のデッキに復讐対象を二枚加える、さらにデッキから復讐鬼サダカを手札に加え、それを召喚!』
『さっそく出て来ましたね』
『エピソードカード、絶望への奈落を発動、デッキ下からカードを一枚捨て札へ送り、サダカのポイントを4上昇させる、これでサダカのポイントは8よ』
『一定のポイントに到達しましたね、ではここでまた説明しましょう』
だから全部済ましといてよ。
『ステップカードに記された条件を達成すると次のステップに進むことが出来ます、それを4回達成すればゲームに勝利、これがこのカードゲームのルールです』
勝利条件を前もって教えずにゲームを開始させるなんて、やっぱり油断ならないわねコイツ。
ともかく次のステップへと駒を進める。
ステップ1絶望の闇から、ステップ2定められし目標へ。
サダカのポイントを13以上にし、凶器を所持させれば次のステップへと進められる。
『私の番はこれで終了』
『では俺の番ですね、カードを引きます』
今は私が先を行っているけれど、このゲームで挑んできたんですもの、油断は出来ない。
『二番目の花嫁候補ニコをフィールドへ、そしてエピソードカード、二度あることはあと三度あるを発動、デッキから三番目の花嫁候補サンサン、四番目の花嫁候補シッコ、五番目の花嫁候補GO仮屋崎をフィールドに出します、これで五人すべての花嫁候補が揃いました、これにて次のステップへ進みます』
『ステップ1焼き肉無き人生から、ステップ2五人の花嫁へ』
これで同点ってワケか。
『まだまだこれからですよ、エピソードカード温泉旅行を発動、フィールドに存在するキャラクターカード全員のポイントを2上昇させます』
全員ってもしや......
『お察しの通りです、あなたのフィールドのサダカのポイントも上昇します』
『なんのつもりよ、私のカードまで強化するなんて』
『せっかくの温泉旅行、あなたを仲間外れにはできません』
アンタらだけで勝手に行ってろっつーの。
『ここでイベントカード殺人事件発生を発動、デッキからキャラクターカードを4枚捨て札に置き、俺のフィールドの花嫁候補全員のポイントを1下げます、これでイチゴのポイントは3、その他四人は2ポイントですね』
空気が一変、不穏な物へ変貌する。
『さっきからなんなのよアンタ、敵に塩を送ったかと思えば今度は自分のカードを弱体化させるだなんて』
『別に負けるつもりでやってるわけじゃありませんよ、俺の番はこれにて終了です』
惑わされたら負ける。
呑み込まれるな、アイツに!
『私の番!!』
温泉旅行で殺人事件なんてお約束だけれど、下杉のデッキテーマはラブコメじゃなかったというの?
イヤそんなこと考えてる場合じゃない。
私は私で目的に向き合っていれば良いのよ!
『イベントカード運命の出会いを発動、デッキからデスティニー今藤を召喚!さらに自分のフィールドに復讐鬼サダカがいる時、デッキからイベントかエピソードカード1枚を手札に加える』
『イベントカードナンパを手札に加え、それを発動!サダカと今藤のポイントを4上昇させる!』
これでサダカのポイントは14、あとはサダカに凶器を持たせれば次のステップへ進む。
『私の番はこれで終わりよ』
『俺の番、イベントカード犯人はお前だ!を発動、フィールドに合計七体以上キャラクターカードが存在する時はコイントスをします、表か裏か選んでください』
『裏よ』
『俺が表ですね』
軽やかなコインの飛ぶ音が示した答えは。
『表ですね、このカードの効果は出た目のプレイヤーのキャラクターカード一枚を捨て札に置き、自分フィールドの送った以外のカードのポイントを2上昇』
なんとかサダカの死は免れたけれど、自分のカードの犠牲を省みないだなんて、紳士的態度とは裏腹な物を感じるわ。
『誰を売るかはサイコロで決めます、ここは数字そのままで良いでしょう、6が出たら振り直しで』
心地の良いはずなのにそう思えない、サイコロの転がる音。
示された数字は2。
『二番目の花嫁候補二コを捨て札へ送り、残り物の4人のポイントは全員4になりました』
4が4人......
不吉なモノね、サダカも大概だけれど。
『これにて俺は次のステップに足を踏み入れます』
『なんですって?』
『ステップ3五等分にされるのは誰だ!?へ突入します』
なんなのこのデッキテーマは......
『驚かれましたか?花嫁の欠片は単に一人の男が花嫁を選ぶのではなく、謂わばサバイバルなのです、生き残った者が花嫁として君臨する権利を得るのです、とはいえ最終的決定権は花嫁ではないのですが......』
こんなのまるで私がさっき相対していた花嫁狂い達と同じじゃないのよ......
薄気味の悪さが身体に伝い、プレッシャーとなって私を襲う。
ダメ、こんなところで気負けなんてしたら......
さりとて襲いかかるのはそれだけじゃない。
『お前如きが雷太郎様に触れるなァァァァァァァ!!』
雷鳴の如き叫び。
突如襲い来る四番の凶行。
見惚れる程紅い鮮血が視界を彩る。
この物語はフィクションです。
犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。




