表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/20

ようこそ私立恋鎖天命高等学校へ

 まばゆい陽射しが朝を彩る。


眠気や気だるさを吹き飛ばしてくれるキモチの良い朝、私は一人の男の子と登校している、リムジンで。


『アンタが金持ちだってのはなんとなくわかっていたけど、まさかリムジンで高校に通うことになるなんてね』


『気に入ってくれた?』


なんだこの御曹子(おんぞうし)君、案外イタズラっぽい所があるのね。


『気分は良いけど慣れる気はしないわね』


この非日常感は嫌いじゃないけどね......


『それにしても知り合った翌日に転校させるなんて随分話の早いことね』


『君がいた高校にはちゃんと説明してあるから安心していいよ』


私はアンタがなにか表では言えないような手を使ったんじゃないかと疑ってるんだけどね......


『そういえば怪我の方は大丈夫?』


『別に平気よ、でも確か私は腕を狙撃されたし、蹴られもした、なのに問題無く動かせるわ』


『あの後すぐに手術してもらったからね』


『へぇ、でもおあいにくさま、お金なんて出せないわよ』


『別にいいよそのくらい』


『まだ聞いていないことがあったわね、私がこれから通う高校、私立恋鎖天命(しりつれんさてんめい)高等学校(こうとうがっこう)ってどんなとこなの?』


『きっと気に入ると思うよ』


後のお楽しみってワケ?まぁいいわ。


他愛の無い雑談をしているうちにリムジンが止まりドアを開けられる。


『ここからは少しだけど歩いてもらうから、ちょっとは通学路も憶えてもらわないと』


『校門まで送ってくれても良かったのに、でもいいわ、身体を動かさないと落ち着かないし』


転校初日から異性と二人きりで登校だなんて、本来なら興奮の一つでもする所なのでしょうけれど、私にはムリだわ、私はもう純粋無垢ではいられないから。


しかしなんだか妙に目立っているような......


『ねぇ愛住(あいずみ)君、なにか視線を感じるのだけど』


『ああ何故かわからないけどいつものことさ』


しきりにウワサ話が聞こえてくる。


『今日も素敵ね愛住(あいずみ)君......』


愛住(あいずみ)君の登校姿、なんて眼福......』


あらあら愛住(あいずみ)君たらモテてるじゃない、なんて笑ってもいられないのかもしれない、周囲の女の子達が私を誰よあのオンナって顔で見てるから。





転校初日の挨拶、ある種ここが肝心だ、ここでクラスメイトにアピール出来るかで今後の学園生活を左右する、と愛住(あいずみ)君が言っていたわ、要は釘を刺した訳ね、物理的な意味じゃないわよ。


でもまぁ、私には関係無いわ、なんならハブられるぐらいが丁度良いまである、だから......


担任に呼びつけられ教室に入る。


教室内が盛り上がっているのを感じる、安心なさいすぐに冷ましてあげるから。


『私の名前は哀抔符夜雨(あいなどふよう)、嫌いな物は恋愛とラブコメ、可哀想だからといって私に話しかけなくても結構ですので』


軽くお辞儀をし、担任に指定された席に座る。


なんでこんなことになっちゃったのかしら、なんて考えていると、隣の席には愛住恋(あいずみれん)が冷たい目で私を見ていた。


『あら同じクラスだったのね、これも貴方の差し金?』


『どういうつもりなの、嫌いな物言って話しかけるなだなんて』


『別に青春がしたいワケじゃないから、私だってヒマじゃないし』


愛住(あいずみ)君がやれやれなんて仕草をしている、精々呆れているがいいわ、私のやることの邪魔はさせないんだから。





ホームルームの後、数人のクラスメイトが絡んでくる、私言ったわよね話しかけるなって。


『どこから来たの?』


『その名前本名?』


『お願いですので好きな食べ物とか教えて欲しい』


なんてことはない質問が繰り出されるが、メンドウというほかは無いわ、そうだ愛住(あいずみ)君に助けてもらおう。


『ねぇ愛住(あいずみ)君、貴方私にこの高校の案内をしてく......』


隣を見ても奴は居なかった、全くどこ行ってんのよあのお馬鹿さんは。


適当に相手をしている内にチャイムが鳴り、周りのクラスメイトが散り散りとなる。


それと入れ替わるように席に戻る愛住(あいずみ)君。


『随分遅かったじゃない、なにしてたの?』


『生徒会の皆に説明していたんだ、君のことを』


『何故生徒会の子に私の説明をする必要が?』


『君に生徒会に入ってもらうからさ』


『随分乱暴な話ね、私入りたいだなんて言っていないわ』


『活動しないのは勝手だけど、その時は君のことポロッと言っちゃうかもね』


『意外とサディスティックなのね貴方』


イタズラっぽく笑っちゃって、いつか絶対泣かせてやるわ。






放課後に入り、早速愛住(あいずみ)君に生徒会室に連れられる。


『生徒会の活動なんて、私やったことないんだけど......』


『経験があっても教えることにはなるから関係ないさ、ここの生徒会は少し変わってるから』


『なにをやらされるのかしら......』


『それはね......』


生徒会室のトビラを開けながら口にしたその言葉に、私は呆れるほかなかった。


『生徒により良い恋愛をしてもらう活動さ!』


帰らせてもらおうかしら。

この物語はフィクションです。

犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ