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お勉強の時間

 学生の本分たる勉学。


その能力を測る施行が執り行われる。


仰々しく言ってみたけれど、ようはテストね。


哀抔(あいなど)さん、テストの結果を見せてくれない?』


前日の発言の影響で愛住(あいずみ)君も不安になっているようね。


いつまでもこんな状態じゃ可哀想だからさっさと安心感させてあげましょう。


『これが私の力よ』


テストを見せれば顔をしかめる愛住(あいずみ)君。


哀抔(あいなど)さん、今日は僕と勉強しようか』


『なんでよ』


『キミのテストの点数が13点と44点ばっかりだからだ』


『それのなにがいけないのかしら?』


『留年するかも』


それは考えていなかったわ。


『そっその時はその時で上手くやるわよ』


『そんな考えを変える為にも僕と勉強してもらうから』


『ちょっと離しなさいよ!』


愛住(あいずみ)君に手を取られながら図書室へと連れていかれる。


あなたわかってる?


この様子が他の女子達に見られていることを。




放課後に男の子と二人で勉強なんてわかりやすい青春ね。


しかも女子人気のある生徒会長様がお相手だなんてね。


それでもときめいたりなんかはしないわ。


それはきっと恋に恋する生粋の乙女でも同じことでしょう。


なんせ周りの女子達が私を睨んでいるんですもの。


『ねぇ愛住(あいずみ)君、あなた気が散ったりとかしないの?』


『しないけど、人の少ないところの方が良かった?』


そうね、私かあなたの部屋でやった方が身が入るでしょう。


でもそれを伝えるワケにはいかないわ、火に油でしかないから。


『大したことではないわ、ただあなたには注目を集めている自覚あるのかなって思っただけよ』


『注目?されてるかな?』


自覚なかったのね......


『あまり得意ではないわ、人の多いところは』


『それなら今度は僕の部屋でしようか』


言いやがったわこの子。


周りの女子達の目をギラつかせるのが伝わる。


愛住(あいずみ)君てば、ホントに気づいてないの?


『遠慮しておくわ』


『へぇどうして?』


なんだか妙なイタズラっぽさがあるような......


もしや私を弄んで楽しんでいるワケじゃないでしょうね......


『あなたね、そんな簡単に異性を自分の部屋にあげるべきではないと思うのだけど』


『同棲しているのになにをいまさら』


花瓶でも割ってしまった時のような感覚がする。


やってしまった、とでも言えるような......


この場合、やったの私ではないけれど。


そんなことはお構い無しに、周りが噂話を始める。


私はおろか愛住(あいずみ)君までも非難の対象とする声に、私の胸は張り裂けそうにもなる。


私のせいであなたが攻撃されるのは申し訳ないから。


『別に私が留年しようとあなたには関係ないじゃない、なんでわざわざお勉強なんか......』


『キミがいないと寂しいから』


愛住(あいずみ)君の言葉が引き金となり、女の子達がひたすら唱える。


哀抔符夜雨(あいなどふよう)に死の鉄槌を下せと。


どうやら私は一部の女子の敵になってしまったようだ。


今は愛住(あいずみ)君と一緒にいるワケにも行かない、とにかく離れましょう。


『先に帰らせてもらうわ』


立ち去ろうとしても、そうはさせてもらえない。


『どこに行くの?』


『帰るのよ家に、まぁそれだけじゃないけどね』


『僕も帰るよ、キミと一緒に』


どこまでもあなたって人は!


『一人で帰らせて頂戴』


『ダメだ、キミを一人にするワケにはいかない』


『信用ないのね』


『そう見えるのならさせてごらん?』


私と身体を寄せながら放たれたその一言は、女子達へ問い詰めるきっかけを与えた。


『ちょっと愛住(あいずみ)君!あの娘とはどういう関係なのよ!』


『まさか付き合ってなんかいないわよね!?』


愛住(あいずみ)君が質問攻めにあっている隙にお(いとま)しちゃいましょう。


また夜に会いましょう、生徒会長さん?




街の中をうごめく人々。


私はそれをただ眺めていた。


各々が穏やかに営む日常、私も昔はあんな風に輝いていたのかもしれない。


でも、もう昔のようにはいられないから。


だからせめて、私からあの人を奪ったあの二人を......


ひたすらに情報収集に勤しむも、一向に集まらない。


外が暗くなり、疲弊し始めた頃に声をかけられる。


『あっあの、もしかして哀抔(あいなど)さんですか?』


差し出されたスマホには、SNSのアカウントが映し出されていた。


私のアカウントだ、それも援交用の。


久しぶりの仕事を受けようとすれば、一人の男の子が脳裏に浮かび、胸が苦しくなる。


今にも焼きつきそうな痛みが、私の身体を蝕んでいた。


とんだ体調不良、人違いということにして逃げ去る。


私にはもう、なにもいらない。


ただ復讐を果たせれば、それだけで十分。


薄汚れたまま、()ちり(つい)える。


それで問題無かったはずなのに......


なんで愛住(あいずみ)君が思い浮かぶの!?


私にあるのは復讐心だけ、いまさら幸福なんて求めていない、そのはずなのに......


どうやら愛住(あいずみ)君達生徒会に居る内に変えられてしまったようだ。


私の身体は幸せを求め、それを遠ざけるモノを拒否する、そう染められてしまったのだ。


いまさらなんだというの。


あの人が居ない世界で幸せになんかなれるワケないじゃない......!


身体中に激痛が伝わり、視界も鮮明ではなくなる。


立つこともままならないこの状況下の中、またしても私に声がかかる。


『ねぇ大丈夫?』


何故だか聞き覚えのある声が聞こえた気がした。


『アレ?あなたもしや......』


私を知っているの?


『やっぱり!あなた符夜雨(ふよう)でしょ?』


『何故私の名を?』


『ほらアタシよアタシ!哀抔世罪理(あいなどせつり)よ!』


かつてない衝撃。


あまりにも唐突に復讐相手と合間見える。

この物語はフィクションです。

犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。

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