ラムネ瓶にはいられない
殺してやりたい奴らがいる。
いつどこで出会ってもいいように持ち歩いていた復讐の為の道具を、人を守る為に構える。
『なにそれモデルガン?』
『試したいなら遠慮はしないわ』
復讐を投げ出すことになるけれど、仕方ない......
『興が覚めたな、付き合ってられん』
万歳座凶が健太君を放り出して足早に去っていく。
助かった、なんて言える状況じゃない、窓ガラスを割られて私と健太君が暴行されて......
とにかく健太君の状態を見ないと。
拳銃を仕舞い、寄りかかるが、身体がそれを許さない。
私の身体もとうに限界だったのだ......
意識が遠退く。
健太君のお母様の悲鳴が微かに聞こえる。
ゴメンなさい、私がついていながら......
『良かった、目を開けた......!』
目を覚ますと自分の部屋のベッドにいた。
『随分大げさなのね愛住君』
『そりゃ心配するよ』
私のお腹に包帯が巻かれているのに気づく、ついでに額にも、頭は打ってないわよ。
『それでどうなったの?健太君は無事?』
『病院に運ばれたよ、命に別状は無いって』
『病院の場所を教えて頂戴』
『ダメだよ安静にしてないと』
『でもじっとしてなんていられない』
『ただでさえなにも出来なかったのだから、せめて......』
『駆けつけたっスよ!フヨちゃん!』
勢い良くドアが開かれ、生徒会のみんなの姿が視界に入る。
『わざわざ来てくれることないのに』
『同じ生徒会メンバーっスよ!来るに決まってんじゃないスか!』
『早く元気になってもらわねばな』
『副会長がいないと寂しいですから!』
なんだか心にくる物があるわ、こんな繋がりを築くことは出来ないと思ってたから。
『いやーしかし驚いたっスよ、まさか会長とフヨちゃんが同棲してるなんて!』
バレちゃったわ、仕方ないけれど。
『愛住君、良いの?明かしても』
『隠すことでもないよ』
これがバレたら一部の女子生徒になにをされるのでしょうね......
『そうだフルーツの盛り合わせを持って来たんスよ、もう今食べちゃってください!』
『なんで急かすのよ』
でも今はこの優しさが目に沁みるわ。
りんごを手に取る。
艶やかな赤色に目を奪われ、気づけば口元に寄せていた。
『ちょっとそのままかじるの!?』
『あらダメ?』
『ダメっていうか、ほら僕が切るから』
わざわざやらなくてもいいのに、とは思いつつも手渡す。
りんごに包丁が入れられ、皮が剥かれゆく。
『待って、皮は残して』
『皮好きなんだ?』
『皮っていうか、赤色が......』
『へぇ、やっと好きな物を言ってくれたね』
『なっ!?』
イタズラっぽく微笑む愛住君に、私の身体は熱を帯びた。
『バカ言ってないでさっさと寄越しなさいな』
震えた手をなんとか伸ばしても愛住君に摘み取られる。
『こんな状態じゃ危ないよ、僕が食べさせてあげるから』
ちょっと距離が近いわよ!なんで愛住君てばたまに距離感がおかしくなるの!?
熱くなった私の心と身体に、愛住君は構ってなんてくれない。
『はいあーん』
差し出されるりんごの一切れをただ受け入れるしかなかった。
『美味しい、です......』
『なんで敬語なの?』
またイタズラっぽく笑っちゃって、見てなさい、いつか私が攻め倒してやるんだから。
『あの、もしかしてお二人は付き合っているんですか?』
絵園さんによる直球な質問。
『貴女までなに言ってるのよ!わっ私が恋愛なんてするはずないでしょ!』
『そんなに必死になって否定してると逆効果だよ?副会長さん?』
なんで副会長呼びしてくるのよ愛住君てば......
『同棲してて付き合っていない方がウソっぽいスからね!』
『だから付き合ってないわよ!』
『哀抔もそうやって取り乱すことがあるんだな』
こんなの私のキャラじゃない......
『そいじゃそろそろオイトマするっス!いつまでもお邪魔してるのも悪いっスから』
なによどういう意味よ......
足早に去る三人に目を配らせつつ愛住君が抱擁する。
『二人きりになったとたんにだなんて、ホントに交際してるみたいじゃない......』
『またキミを傷つける結果になってしまった......』
『私が選んだことなんだから気にしないで、大丈夫だから......』
『キミが大丈夫でも僕は......』
私が目を開けるまで気が気じゃなかったのでしょうね、愛住君にはいつも悪いことをしてしまってるわね。
『気が済むまで抱き締めてていいから......』
相手の気持ちに答えながら、そっと手を回す。
翌日の朝、怪我が治りきっていない中、無理を言って登校させてもらった。
今はこうしていないと落ち着かないから。
『健太君、部分だと良いのだけど』
『次は僕も一緒に行こうか?』
愛住君の想いが伝わる。
『そうね昨日みたいなことがまた起きたら、でも会話は私だけでやった方が良いんじゃないかしら』
『あまり大人数でこられても迷惑だろうね、でもなにかあったらすぐ呼んでね』
『ええ、その時は頼りにさせてもらうわ』
決意のつかの間、教室が方角が騒がしいのに気づく。
急いで入れば、一人の生徒が話題の中心になっていた。
『健太君!?何故ここに!?』
この物語はフィクションです。
犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。




