全く可愛らしいわね
今日も大神君と一緒に依頼をやるようだ。
正直言ってメンドクサイけど、それが霞む程メンドクサイ状況に襲われている。
愛住君が変な格好をしながら依頼をしてきたのだ。
本当にこんなのが生徒会長なのかしら。
『それでは依頼内容の説明をさせていただ......』
『ちょっと待って頂戴、私達はまだ受けるとは言っていないわ』
不遜な笑みを浮かべる愛住君。
『受けますよ、でなきゃそこの書記さんは前に進めない』
『何故俺の話が出てくる』
当然の反応ね。
『書記さん、キミは女子に対する免疫がまるで無い、そんなの悲しい、嗚呼悲しい』
ホントどうしちゃったの愛住君。
『なので書記さん、貴方に女子慣れして欲しいのです』
大神君を想う気持ちが伝わってくる。
良いとこあるじゃない、格好は変だけど。
『貴方の想いは伝わりました、ですがこれは大神君が決めることです』
『俺だけで決めて良いのか?』
『貴方の問題ですもの、私が決めることじゃないわ』
一つの間を置き、覚悟でもしたかのように。
『この依頼、引き受けよう』
大神君の一言に笑みをこぼす変質者。
『しかしこの依頼、なにをやらされるんだ?』
大神君はともかく、私にやれることはあるのかしら。
『では書記さんと副会長さんには僕が出すお題に沿ったことをしてもらいます』
『お題ね、まぁ楽そうだけれど、ホントにイヤがってたら止めるわよ』
『ええ構いませんよ』
『それでは......』
『待って、いつまで雑な変装をしているつもりよ生徒会長?』
『なに!?生徒会長!?』
あら?気づいていなかったの書記君?カワイイ。
『僕が生徒会長?違いますよ、別人です』
『いつまで茶番を続けるつもりよ愛住恋君』
『愛住恋?全然違いますよ、僕の名前はアーイズミレンレンですよ』
あんまり変わらないじゃない。
『アーイズミさん、いえメンドウね、レンレンさん』
レンレンが顔を赤くしている。
『下の名前で呼ぶのはまだ早いかなって......』
もうなんなのよ!そんなのより今貴方のやってることを恥じなさいよ!
『ごちゃごちゃ言ってないで始めますよ!最初のお題はコチラ!』
勢い良く出された紙には夫婦の営みと書かれていた。
『あの愛住君、これは......?』
『二人には夫婦になったつもりで会話してもらいたいんだ』
正直下ネタかと思った、あと愛住君呼びに反応してるし。
『ようするに高校生である私達におままごとをやれってこと?』
『あっ気づいた?』
『断りましょう、こんなことに付き合う意味無いわ』
『わかった、やろう』
まさかと思わされたわ。
『ちょっとなにやる気出してんのよ』
『実は一度やって見たかったんだ』
私以外と勝手にやってなさいよ!
『それじゃスタート!』
あーもう仕方ないわね!
『おーい、帰ったぞ哀抔』
ホントにおままごとじゃないの、というか夫婦の体でやってんだから下の名前で呼びなさい。
『ミルクでも飲んでさっさと帰りなさい』
『はいカット!』
映画じゃないのよ。
『夫婦って言ったでしょ!』
『こんなモンじゃないの?』
『キミの夫婦像どうなってるんだよ!』
『というかなんで夫婦なのよ、もっとマシな舞台設定設けなさいよ』
『えー、そう言われてもなー』
もしやアレしか策が無かったとかじゃないわよね......
『こんなおバカさんは放っておいて私達でやってましょう』
『おバカさん!?』
なにショック受けてんのよ。
『しかしどうするんだ?』
『そもそも私達ってあまり話したこと無いわよね』
『まぁそうだな』
『なので親睦を深める意味で私と会話してもらうわ』
『それならいけそうだ、さぁ来い!』
そこまで力まれると不安になってくるんだけれど。
『それでは手始めに、嫌いな物はなんですか?』
『やめてよ!その嫌いな物から始めるクセ!』
『あら?好きな物より嫌いな物を聞いた方がその人の人となりもより理解できるのよ』
多分ね。
『どういうことだよそれ......』
『好きより嫌いの方が確固たる感情なのよ』
『そうかそういう考えか、ならば僕は証明して見せる!嫌いより好きの方が個人を象徴とする感情だと!』
もう完全に変装のこと忘れてるわね。
『それで大神君、嫌いな物はなに?教えて頂戴』
距離感を詰めて近寄っても離れられる。
『やっぱり女の子は嫌い?』
『嫌いとかじゃない、苦手なだけだ』
へぇ、ならこれはどう?
『ねぇこっち向いてよ、恥ずかしがらなくて良いから』
手に触れながら囁き、書記君が顔を赤く染める。
普段クールな雰囲気を醸し出してからのこれはあまりにもズルいわ、カワイすぎるわ、なんだか楽しくなってきちゃった。
『ちょっと副会長さん!距離が近すぎますよ!』
レンレンに引き剥がされ、我に返る。
『あら?ゴメンなさい、大神君がカワイくてつい』
赤くなっていた大神君が仏頂面に戻る。
カワイイって禁句だったかしら。
なんて言ってる場合じゃないわ。
『大神君、貴方足から血が出てるわよ』
『平気だ』
『だからと言って放置するわけにもいかないわ』
大神君の手を引っ張り保健室へ。
『ほら座って』
大神君を座らせ、足の怪我を確認する。
『ちょっと転んだ時にできたんだ、だから平気だ』
『でも流血しているのだからほっとけないわ』
放課後の保健室、男の子が女の子に傷の手当てをされている。
これも一種の青春なのでしょうね、変質者がいなければ。
『別についてこなくても良かったのに』
『そういうわけにもいきません!大体書記さん!なにデレデレしてるんですか!』
『デレデレなんてそんな、しかし結局改善したかどうかは......』
『今日はもう遅いからここまでだけれど、これからも付き合ってアゲルわ、いつでもってワケにもいかないけれどね』
和やかな雰囲気が漂っている、変質者いるけど。
『あっ生徒会の皆さんここにいた!』
突然一人の女の子が現れ、私達にとんでもない頼みごとをしてくる。
『ある不登校生徒を復学させて下さい!』
ラムネ瓶を持ちながら。
この物語はフィクションです。
犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。




