大神君と共同依頼
大神君が怪我をしている。
一体なにをしていたのか、それはさておき、まずは治療しましょう。
『手当てするわ、貴方のご自宅に案内して頂戴』
『別に平気だ』
『流血しておいてなにが平気なモンですか』
『これくらい、いつものことだ』
そう言って去っていった。
どんないつもを送っているのよ......
『ねぇ愛住君、今日血を流した大神君を見たわ』
愛住君の家に戻り、世間話を始める。
『状態の方は?無事だった?』
『細かくは見ていないけれど、本人曰く平気とのことよ』
『明日直接聞いて見るよ、それで場合によっては共同依頼も後回しにする』
『私イヤよ大神君とやるの、なにがあるかわかりませんもの』
『そんな言い方はしないでくれよ、大神は良い奴だ、僕が保証する』
保証されてもね、なんだか不安だわ。
翌日の休憩時間中、大神君を見かけたけれど、特につらそうにしている様子は無いわ、治りが早いのかしら。
その後、生徒会室にて大神君と二人で並ばされている。
『では今日は哀抔さんと大神の二人で依頼を受けてもらいます』
結局延期しなかったわね、正直延びるのを期待していたわ、そうなれば人を探す時間も出来ますもの。
『共同依頼も今回で大詰めね、頑張りましょう』
『言われずともだ』
ふぅん、随分クールね。
愛住君が生徒会をあとにし、依頼人のいる向かいに腰をかける。
『本日はどのようなご用件で?』
依頼人の女子生徒は大神君をチラチラと見ている。
『えっと......その、気になる人がいるんですけど......』
『その人の名前や特徴をお教え願えませんか?』
『名前はまだ言えないんですけど......特徴は身体がたくましくて口数少なくてあとカッコ良くて......』
またも大神君をチラチラ見ながら好みを羅列している、これはつまり......
大神君に声を潜めて説明する。
『急にどうした』
『彼女貴方に惚れてるわね』
『......そうなのか?』
気づいていなかったのね、割りと鈍感なのかしら。
『どうする?受け入れる?それとも断わる?』
『俺は今回の依頼人のことを知らない、だから受けるもなにも......』
それは貴方に任せるけれど、私今の所生徒会の役に立っていないような......
『それより哀抔、少し距離が近くないか?』
『あら?こうしないと聞かれちゃうでしょ?依頼人に』
『にしてもこれは......』
もしかして私、大神君に嫌われてる?
『ちょっと、あっ哀抔さん!大神君となに話してるんですか!?』
『この依頼の行動方針を話しておりました』
『とっとにかく離れて!』
『あらゴメンなさい』
この反応はやはり......
『話を戻しましょう、貴女はその人とどんな関係をご所望で?』
『ホント言うと付き合いたいですけどー、まだ早いのかなって』
結構奥手なのね、この娘。
『お友達から始めたいと?』
照れながらも頷く依頼人。
『だそうよ大神君?』
『急に振るな!』
あらあら照れちゃって可愛らしい。
一考の末に声を出す書記君。
『少し考える時間をくれないか』
『そりゃ無いわよ大神君!』
『そうですよね、わたしなんかと友達になんてなれませんよね......』
『そんなこと無いわよ!ほら大神君もなにか言って頂戴!』
なんで黙ってんのよ!なんとか言いなさいよ!
『サヨナラ!』
『ちょっと待って頂戴!』
行ってしまったわ......
『ちょっと大神君、どういうつもりよ』
『無理なんだ』
『無理ってなにがよ』
『女子と絡むのが』
『......私も女子よ?』
『生徒会だけでの関係だから大丈夫だ』
身体を震わせながら良く言えたわね。
『絵園さんはどうなのよ』
『絵園は子供っぽいから平気だ』
それは悲しいわね......
『それじゃ一旦出るわ』
『どこに行くんだ?』
『依頼人の娘が心配だからあとを追うの、といっても心当たりとかないけれど』
『俺も行こう』
『状況を悪くする恐れがあるわ、ここは私一人で行くの』
『それに貴方昨日は足から血を流していたじゃない、無理しなくて良いのよ』
『もう平気だ、ほら見てみろ』
大神君が私に素足を見せている、確かに血は止まっているけれど......
『あのね大神、私には良いけど、他の女の子に素足とか見せちゃダメよ』
『何故だ?』
『そういうモンなの』
放課後の校舎を見て回っても依頼人は見当たらない。
もう帰っちゃったのかしら。
結局見つけることは出来ず、遅くなったのもあってメイドさんに迎えにこられる。
『今日の依頼はどうだった?』
成果を聞く愛住君は我が子の成長を見守る親のようだ。
『成功とは言えないわね、大神君ってば女の子に慣れていないみたいだから』
『へぇ、そっか』
『なんにしても共同依頼も一段落ついたって思って良いのよね』
『まぁ明日言うよ』
含みを持たせて考え込む愛住君。
なにか妙なこと企んでいないでしょうね。
翌日の生徒会室、またもや大神君と二人で並ばされている。
共同依頼はもう終わったんじゃないの?
愛住は依頼人を呼ぶと言ってどこかに行っちゃうし。
『大神君なにか話とか聞いていない?』
『俺も特に聞いてないな』
一体なんなのかしら......
私達の静寂を破る、ドアを勢い良く開く音。
ドアを見ればそこには、鼻眼鏡を着けた愛住君が立っていた。
『依頼させてもらっても良いですか?』
とうとうトチ狂ったのかしら......
この物語はフィクションです。
犯罪行為を推奨、肯定する物ではありません。




