カルテNO18-4 次のふわふわ
実況スタジオでは、女神様が雲ソファに寝転びながら、曇った水晶型マカロンをつまんでいた。
「は〜い!当てる気のない占い師さんの“ふわっと旅”、最終章〜!魔物が座って、村人が傘を出して、実況が曇ってた〜!」
スクリーンには、広場のベンチで水晶玉を抱きながら語る占い師の姿。
背景には座る魔物、傘を持つ村人、そして“たぶん晴れ”な空。
女神様は実況を終えると、カルテ管理室へ移動。
ふわふわのファイル棚から、占い師のカルテを取り出す。
ページは曇っていて、ところどころ「たぶん」と「まあまあ」で埋め尽くされている。
背表紙にはすでに絵文字が並んでいた:
「未来ぼかし」「感情ぼかし」「助言風雑談」
そして、女神様は新たに“霧もくシール”をぺたり。
「この子、推し確定〜!しかも旅の完成度、曖昧で整ってる〜!」
カルテには最終記録が追加された。
『旅完了:だいたいの未来で世界をほどく。
スキル:全部ぼんやりしてるけど、なぜか効く。
評価:当たらないけど推せる。占い枠として実況向き。』
スキル開発部では妖精たちが紅茶をすすりながら語り合っていた:
「《未来ぼかし》、次は“気分で変わる”モード追加しよう〜!」
「《感情ぼかし》、魔物が“なんか座りたい”って言う仕様にした〜!」
「《助言風雑談》、雑談パターンに“天気と恋バナ”追加した〜!」
神域リスナーコメント
「たぶんで世界が整うのすごい」「魔物が座るの最終回まで続いた」「実況が曇ってるの草(霧)」
受付では、雲のカウンターが「ぷにっ」と鳴る。
受付妖精「次の方〜!使命あり/なし/とりあえずふわっと生きたい、どれにします〜?」
スクリーンの端には、占い師の背中が小さく映っている。
水晶玉を抱きしめながら、霧の道をゆっくり歩いていく。
それは、次の“だいたいの未来”への旅路に続いていた。
予言が誰かの心をほどいてくれるなら——
曖昧さは、今日もどこかで「たぶん」とささやいている。




