カルテNO2-3 肩こりと魔物と世界の理(たぶん)
村の朝は、静かだった。
ダーク=フレア=カゲミツは、納屋の前で干し芋を焼きながら、空を見上げていた。
「我が右腕が疼いている……世界の理が、また歪み始めたか……」
肩こりだった。
村人たちは、昨日の“封印解除”騒動を遠巻きに見ながら、そっと距離を取っていた。
「この人、干し芋を“神果”って呼んでるけど……まあ、害はなさそうだし」
そのとき──村の外れから、けたたましい咆哮が響いた。
「魔物だーっ!」
村人たちが逃げ惑う中、カゲミツはゆっくりと立ち上がった。
「来たか……我が力を試す時が……!」
魔物は、黒い毛並みの巨大な獣。目は赤く、牙は鋭く、そして──くしゃみをしていた。
「……花粉症?」
カゲミツは《マニュアル・ビジョン》を発動。
『魔物:花粉に弱い。風属性に極端に反応。くしゃみが止まらないと戦闘不能。
好物:干し芋。苦手:中二語』
「ふむ……我が力、風を操る者として、理を正すに相応しい──」
彼は杖を掲げ、詠唱を始めた。
「我が魂よ、風となりて──」
くしゃみが出た。
「へっくし!」
風が巻き起こり、魔物に直撃。魔物はくしゃみを連発しながら、地面に倒れ込んだ。
村人「えっ……倒した?」
カゲミツ「我が右腕が疼いた時点で、勝利は確定していた……」
肩こりだった。
女神様実況(雲ソファより)「くしゃみで魔物撃退〜!風属性、偶然発動〜!世界救済(予定)、まさかの達成〜!」
魔物は、干し芋を一口かじると、満足げに森へ帰っていった。
村人「……なんか、平和になった?」
カゲミツは、空を見上げて言った。
「我が使命は、まだ終わらぬ……この地の理は、まだ歪み続けている……」
村人「いや、もう大丈夫だと思いますけど」
女神様実況「正雄さん、使命完了(自称)まであと一歩〜!でもこの調子なら、次回も期待できそう〜!」




