カルテNO16-2 天気予報、誤差あり
異世界に転移した鳴海カスミは、まず村の空を見上げた。
風の流れ、雲の厚み、湿度の匂い――彼女の目は、空の言葉を読み取っていた。
《天気予報詠唱》を発動。
「午後から雷雨の可能性、60%。風速は穏やか、湿度上昇中。備えを推奨します」
村人たちは「えっ…魔法で天気予報!?すごい!」とざわつく。
「この人、空のことがわかるんだ…」と、少しずつ信頼の空気が広がる。
──しかし、雷雨は午前中に到来。しかも、範囲がズレて隣村に直撃。
実況スタジオでは女神様がゼリーを落としながら叫ぶ。
「予報、外れてる〜!しかも隣村がびしょ濡れ〜!字幕スタッフ、誤差の補足に追われてる〜!」
村人たちは不安げに空を見上げる。
「やっぱり魔法って、当てにならないのかな…」
「予報って、外れるんだね…」
カスミは静かに《気圧バリア》を展開。
空気の壁が雷の衝撃を緩和し、村の被害は最小限に抑えられた。
「誤差はあります。でも、守る方法もあります」
彼女の声は、雷の音よりも静かに、しかし確かに届いていた。
村人たちは、少しだけ空を信じてみようと思った。
「この人、外れても冷静すぎる…」
「予報って、完璧じゃなくても意味があるんだね」
──その夜、カスミは空の記録をノートに書き留めていた。
「誤差:+3時間、範囲:西に2km偏移。雷強度:予測以上」
その手は、次の空を読む準備を始めていた。
女神様は実況スタジオでマカロンを頬張りながら実況。
「カスミちゃん、誤差で信頼を得てる〜!しかも“冷静すぎて実況が盛り上がらない”ってスタッフが泣いてる〜!」
こうして、鳴海カスミの“空を読む使命の旅”は、誤差と信頼のあいだを、静かに、でも確かに進んでいくのだった。




