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カルテNO9-2 優雅無双

異世界の村は、夕暮れの静けさに包まれていた。

広場では子どもたちが遊び、商人たちが屋台を片付け始めていた。

その空気を裂くように、叫び声が響いた。


「盗賊だ!逃げろ!」


馬車に乗った盗賊団が村に突入し、荷物を奪い、村人を脅していた。

誰もが逃げ惑う中、ひとりの男が広場の中心に立った。


小泉タカシ。


タンクトップにレギンス、背筋はまっすぐ。

その姿は戦士のようであり、舞台の主役のようでもあった。


「皆様、ご安心くださいませ。この場は、私が整えて差し上げますわ」


盗賊たちが笑う。

「なんだその格好!踊り子か?筋肉だけで何ができる!」


タカシは、静かに一歩踏み出す。

《優雅な回避》発動。


盗賊の剣が振り下ろされる。

だが、タカシは舞うように身を翻し、つま先で地を蹴る。

その動きは、あまりに美しく、あまりに滑らかだった。


盗賊「……えっ、今の……攻撃、かわされた……?」

「てか、なんか……見惚れた……」


タカシは、つま先で地を踏み、回転する。


《つま先バリア》発動。

足元から結界が広がり、村人たちを包み込む。


盗賊の矢が結界に弾かれ、地面に落ちる。

村人「守られてる……踊ってるだけなのに……」


タカシは、両腕を広げ、ゆっくりと舞い始める。


《舞踏ヒール》発動。

その踊りに合わせて、村人たちの傷が癒え、恐怖が和らいでいく。


盗賊「……なんか、攻撃するのが失礼な気がしてきた……」

「この空気……舞台じゃん……」


女神様実況(雲ソファより):「盗賊がフリーズ〜!舞踏で無力化〜!旅の面白さスコア、芸術枠で急上昇〜!筋肉で舞うな〜!」


村人たちは、広場の隅で見守っていた。

誰もが、タカシの動きに目を奪われていた。


「この人、戦ってないのに勝ってる……」

「踊ってるだけなのに、安心感がある……」


タカシは、最後の一歩を踏み、静かに立ち止まる。

盗賊たちは、武器を落とし、馬車に乗って去っていった。

「この場は、整いましたわ。皆様、どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ」


タカシはつぶやく。

「力とは、振るうものではなく、整えるもの。美しさが届くなら、それで十分でございますわ」

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