カルテNO1-2 スキル暴走、グランくんの初日
グランくんは、虹色の渦に吸い込まれたあと、ふわりと草原に着地した。
「……おお、ちゃんと転移できたっぽい」
空は青く、風は心地よい。遠くには小さな村が見える。
使命も目的もないけれど、「楽しく生きたい」だけは本気だった。
その様子を、雲ソファで眺める女神様。
「グランくん、着地成功〜!でもこの村、ちょっと爆発率高めなんだよね〜。実況、準備完了〜!」
旅路スクリーンには、グランくんの視点が映し出される。彼は村へ向かいながら、ふとポーチの中を確認する。
「……ぬいぐるみ、入ってる。しかも喋るって書いてある。え、これがスキル?」
ぬいぐるみが突然むくりと起き上がる。
「グラン!あいつ、こっち見てる!なんかムカつく!殴って!」
「いや、まだ何もしてないでしょ!?」
女神様実況「ぬいぐるみ・シンクロ、初発動〜!グランくん、ツッコミが冴えてる〜!」
村に入ると、さっそく事件が起きる。広場で、謎の壺を囲んで騒ぐ人々。
「この壺、開けたら願いが叶うらしいぞ!」
グランくんは、そっと《マニュアル・ビジョン》を発動。
『この壺:呪われてます。開けたら3日間くすぐられる。耐性がないと笑い死ぬ可能性あり』
「……やめとこ」
女神様実況「説明書きた〜!罰ゲーム壺〜!グランくん、冷静すぎて逆に面白い〜!」
その直後、村の裏山から爆発音。
「誰かが魔法を暴発させたみたいだ!」
グランくんは反射的に《掃除魔法・暴走モード》を発動。
すると──
爆発跡の地面がピカピカに磨かれ、倒れていた敵の鎧が反射して虹色に輝き始める。
「え、なんで敵が光ってるの!?」
女神様実況「掃除魔法、今日も絶好調〜!敵の反射率、100%〜!グランくん、混乱中〜!」
村人たちは拍手喝采。
「なんかよくわかんないけど、助かった!ありがとう!」
グランくんは、ぬいぐるみを抱えながらつぶやく。
「これ、ほんとに“楽しく生きる”旅なのかな……?」
女神様は、雲のマカロンをかじりながらニヤニヤ。
「グランくん、使命ないのに頑張っちゃうの、ほんと好き〜!明日も実況、楽しみ〜!」




