カルテNO5-2 街に降り立つ征服者
虹色の転移ポータルを抜けた先は、異世界の街だった。
石畳の通り、魔導ランプの灯り、空を行き交う配送用の小型ドラゴン。
黒羽南は、制服姿のまま静かに着地した。
「……想定より文明度が高い。計画書、修正が必要ですね」
彼女はカバンから《征服計画書》を取り出し、ページをめくる。
『第一段階:拠点確保
候補:図書館/市役所/パン屋の裏手
優先度:静かで机がある場所』
街の案内板を確認し、彼女は迷いなく図書館へ向かった。
──そして、図書館に到着。
「……完璧です」
重厚な扉、静かな空気、棚に並ぶ魔導書。
彼女は《支配領域:半径3m》を発動。
机の上が瞬時に整い、椅子の角度が完璧に揃う。
ペンの位置、書類の並び、光の入り方──すべてが理想的。
司書「あの……何かご用ですか?」
ミナミ「世界征服の準備です。まずは情報収集から」
司書「……えっ?」
彼女は静かに魔導書を開き、メモを取り始めた。
その姿は、ただの読書好きの少女にしか見えない。
でも、彼女の周囲3メートルだけは、異常なほど整っていた。
女神様実況(雲ソファより)「征服者、街に着地〜!まずは図書館から〜!静かすぎて実況が難しい〜!」
その夜、図書館の一角では、魔導書と計画書が並んでいた。
『第二段階:市民の信頼獲得
方法:演説/猫の召喚/図書館の利用時間延長提案』
ミナミは、ペンを置いて呟いた。
「……世界征服は、静かに進めるものです。騒がしくしては、計画が乱れますから」
その瞬間、猫がふらりと現れた。
「……よし。孤独耐性、発動済み」
猫「にゃー(この子、なんかすごい)」




