カルテNO3-4 使命完了(たぶん)でも熱血は止まらない
村の朝は、少しだけ静かだった。
広場の焦げ跡には、干し芋を焼く香りが漂っている。
村人たちは、昨日の“友情爆発”を振り返りながら、口々に言った。
「うるさかったけど、助かったよね」
「うん。ちょっと燃えたけど、心は温まった」
その中心で、アツミ・ゴウは拳を突き上げていた。
「俺の使命は果たされた!俺の情熱は、誰かの希望になった!俺は、燃え尽きたぁぁぁ!!」
当然、肩から湯気が立っていた。
村の少年が、そっと近づく。
「おじさん、ありがとう。僕、怖かったけど……おじさんの叫びで、ちょっと勇気出た」
ゴウは、涙を流しながら叫んだ。
「俺は、おじさんじゃない!俺は、情熱の化身だぁぁぁ!!」
女神様実況(雲ソファより)「正剛さん、使命完了〜!旅の面白さスコア、最終回まで爆上がり〜!でも声がでかすぎて雲が割れた〜!」
スクリーンには、ゴウが村を去る姿が映っていた。
背中には焦げたマント、腰には干し芋、そして拳には使命感。
『旅の記録:使命あり枠。
火事:増やした。
魔物:友情で爆発。
世界救済:たぶん達成。
村の評価:うるさいけど、いい人。』
女神様は、カルテにそっと炎マークを追加した。
「この人、ほんとに暑かった〜!でも、次の転移者にも影響与えそう〜!」
受付では、雲のカウンターが「ぷにっ」と鳴る。
受付妖精:「次の方〜!使命あり/なし/とりあえず楽しく生きたい、どれにします〜?」
新しい転移者が、虹色ポータルの前に立っていた。
その背中を、女神様が見守る。
「ゴウさんの旅、ちゃんと誰かに届いた。だから次の子も、きっと大丈夫〜!」
スクリーンの端には、ゴウの姿が小さく映っている。
「俺の情熱は、まだ燃えている……次なる理の歪みを、俺が正すんだぁぁぁ!!」
──そして、彼は走り出した。
世界を救うために。
叫びながら。
汗だくで。




