青のゆくえ

夜空を見上げるとき、人は何を願うのだろう。
都会の喧騒の中で、心に小さな星を抱えた少女がいた——。

高校二年の早坂優（はやさか・ゆう）は、明るく周囲に気を配れる存在ながら、心の奥に孤独を抱えていた。
小さな頃に事故で両親を亡くし、今は叔母の家で静かに暮らしている。誰にも迷惑をかけたくないと、感情を飲み込む日々。

ある日、転校してきた不思議な雰囲気を纏う少年・久賀悠真（くが・ゆうま）と出会う。彼はまるで「青い星」のように、どこか遠い場所から来たような静かなまなざしで世界を見ていた。

不器用に始まるふたりの距離は、少しずつ確かなつながりへと変わっていく。
でも、それは“叶うことのない想い”のはじまりでもあった——。

「君が笑うと、世界がきれいに見えるんだ」

願いが星に届くなら。
光が消えたその先にも、想いは残るのだろうか。

ひとつの約束と、ひとつの喪失が、ふたりの運命を静かに照らしていく。
これは、“さよなら”の先に灯る光を描いた、切なくも優しい物語。