ちっこい子供とでっかい怪物
「アレスぅー、ゲームしよー」
アレス。
化物はそう呼ばれた。
二メートル半を超える体躯。
筋肉質な馬の下半身と、皮と骨のみの人間の黒い上半身。
胴体と腕が異常に長く、その黒さ故に表情は伺いしれない。
「おっ、いいなー」
先程話しかけた女の子、カフと同じ軽い口調で返事をする。
接点などあろうはずもないような二人だが、声音は友人のそれだ。
「なにすんのー?」
「チェスー」
「ちぇっ! ちぇちぇちぇちぇ、チェェスぅう?」
アレスが大きなリアクションで迎える。
それに対しカフは冷静だ。
「いいの? 泣いてもしんないぜっ?」
「前負けたじゃん」
淡々と慣れた手つきでチェス盤を床に置くカフ。
「今日は三回連続で勝ったらあちしの勝ち。一回でアレスでいい?」
「あー、おもろいこと言うね? でも言ったね? 後でナシって言ってもムリだかんね?」
▲_▲
「ちくしょおーーーーーーーーーー!!!!」
アレスの負け。
「えっ……えへっ……えへへへっ……」
カフがニマニマ笑っている。
彼女に挑発しているつもりはなく、ただ勝負に勝ったことが嬉しいのだ。
だが、アレスはそうは思わなかった。
「……ほぉん? やるじゃんやるじゃん。じゃあ次はあれな? 実力出るババ抜きな?」
「運じゃん」
「運じゃないですぅー、実力ですぅー」
このまましばらく、アレスが満足するまでゲームは続いた。
数ある作品の中からお読みいただきありがとうございます!
肩の力を抜きに抜いて書いた短編小説なので、とにかく平和をイメージしました。
こういう作品もポンポンと投稿していこうかなと思っております!
では、小説への感想、いいね、評価などをしていただければめちゃめちゃ喜ぶので、何卒よろしくお願いします!
改めて、読者の皆様に“ありがとう”と“愛してる”を!