#1 一般市民とご令嬢とトップモデル??
初めまして!初投稿です!!
レビューなどなど待ってます!
それじゃ、いってみよう!
…人間、ここまで生きて来るのには時間がかかる。生きてるんだから時間がかかる、なんて表現はおかしいけど…
18年。18年だよ!?大正時代なら天皇交代してるからね!?そんなにありゃ山あり谷ありは当然だけど…大人ほどでもないけどそれでも山あり谷ありなんだよ…
けど、こんなのあり!!??
って言いたいことってありません?
私はあります。今まさにその状況です。しかも何故か隣には私の大切な友人が二人も。いや一人確実に新幹線にいたはずだよね!?
…こんな時、どうするのがよかったんでしょうか?どうするのが、正しいんでしょうか?
_____遡ること数時間前……
誰もいない家の中、一人バタバタと朝の準備を始める少女がいた。どうやら、完全に寝坊してしまったらしい。
(これやばい、完全に遅刻だ!遅刻したっ!)
夏休み明け初日。みんなが油断する時間、とはいえ、なんだかちょっとしたテンプレみたいだなぁ…
短く黒い髪を適当に手櫛で整え、まるでアニメか何かのテンプレの様にバターだけつけた食パンを口に咥えて仏壇に一言。
「線香は割愛!ごめんね家族!こんなでも愛してるからね!それじゃ行ってきます!」
彼女は天野真琴。天野と書いて『あめの』の読むなかなかに珍しい名前である。お世辞にも美少女、とかいう訳ではないけどそれなりの容姿と体型。身長も平均的とまるで『普通』を絵に書いたような感じである。
めんどくさがりの楽観的主義ではあるものの、自分が『仲間』と認めた人はとことん助けると決めている、意志の強さはクラスでも有名である。
人はそれを『身内贔屓』と呼ぶことを彼女は知る由もない…
「あぁ…面倒くさい…なんで初日からチャリダッシュ確定してんの私…」
呑気に漕いでいては間に合わない、と必死にチャリを漕ぐその横を…一代の車が通り過ぎた。
_____同時刻。とある豪邸にて。
……ゲームしすぎた、完全寝坊した…
朝からそんなことをぼんやりと考えるご令嬢がいた。え?マジで?と思う方も多いかもしれないけど、確かにそこに存在した。
(兎に角、早く支度しないと…)
ぼんやりした頭を無理に起こしたその姿は、まるで一つの人形のように整った顔と佇まい。強いて言えば、その体は必要以上に色々と小さい、という短所を挙げられるかもしれないが、それさえも綺麗に整っているように見えてしまう。俗に言う『美少女』である。
ふわふわの長い黒髪は腰のあたりまで伸びていて、櫛でとかすのも一苦労。
…最も、自分でとかすなら、だが
「おはようございます、お嬢様。」
優雅な所作でメイドが恭しく朝の挨拶をする。
「…おはよう、今日はお急ぎで」
「かしこまりました。」
メイドに手伝ってもらいながら、のんびりかつサクサクと支度をして当たり前のように車に乗り込む。
「それじゃ、よろしくね。いつもありがとう…」
車は静かに走り出した。この間このご令嬢はゲームから目を離していなかった。
彼女の名は榎本天音。父親が大手ゲーム会社の社長でそれなりのお金持ち。一人っ子なので大事に育てられ、お金持ちが嗜む大抵のことを住み込みの家庭教師に仕込まれて育つアクティブな箱入り娘。
体さえ強ければ、と何度言われたか…
彼女は知る由もない。
「あらまぁ…これは間に合わないわね」
ふと顔を上げると、見慣れた女子高生が自転車を爆走している。彼女はバレないように窓からそっと友人の姿を眺めていた。
_____同時刻。新幹線内。
『まもなく、新大阪に止まります』
「うぅ…後5分…zzz」
車内アナウンスをまるで目覚まし時計のように扱う少女がいた。…学校どうした。
「ほら!起きなさい!」
「マネさん手厳しいぃ…」
周りの視線を全て独り占めしておいて、このマイペースぶり。しかし、完全に緩んでいる顔も、爆睡しすぎてボサボサになっている髪の毛も、彼女の可愛さを少しも損なうことがない。
(てか新幹線って早いんだねぇ〜)
肩まで伸びた少し明るい茶色の髪に、165センチぐらいはありそうな身長とスラっとした体型。
彼女は大人気モデル、名前は天衣律。天衣と書いて『あまのい』と読むもうなんだがよくわかんない苗字を持つ。普段はモデルをしているが、実は実家が忍者の末裔…とか何とか。ふわふわとしたお人好しの性格で、人に手をあげなければ家族にすら怒った顔を見せたことがないぐらいで、絵に描いたような平和主義者でもある。
…先生たちが彼女の成績を酷く心配している、なんて彼女は知る由もない。
「今日も朝から忙しいねぇ、マネさん♪」
口ではそう言いながら、頭の中では学校に通う幼なじみの身を案じていた。
見た目も中身も、家の事情も何もかも違うこの3人に共通して言えることと言えば、日本という国で至極平穏に過ごしていたことと、お互いがお互いのことを大好き、良き友達と思っている、ということぐらい。けれどこの後、この3人だけ日本と強制的におさらばするイベントに巻き込まれてしまうなんて…誰が想像するんでしょう?
真琴は相変わらずチャリを爆走していた。学校の時間的にはもう間に合わない時間ではあるが、学校自体はそれほど嫌いではないため早く到着しようと必死である。…のであるが
「よりによってこんな時にっ…!」
都合が良かったのか悪かったのか、彼女はギリギリのところで信号機に阻まれてしまった。もしかしたらワンチャン、なんて思っていたためかなりの想定外。
「くそぅ…信号なんて大っ嫌いだ…」
文句を言っても現状は変わらず。変わらない信号にヤキモキしていた彼女は…
自分が立っている地面が光り出したことに気がつかなかった。
「………へ?ナニコレ?何このラノベみたいなテンプレ!?」
そのまま地面に吸い込まれるまで、状況を理解できなかった真琴であった。
ところ変わって、こちらも信号に引っかかってしまった一台の車。中にはかのご令嬢、榎本天音が乗っている。
「あれ…?」
おかしい、と漠然と思ったのは、いつも追いついてくるはずの友人真琴がいないからである。
「如何なされました?」
外を見たまま固まった天音を不審がってか、執事の一人が彼女に問う。
「あ、いや…真琴の自転車…追いついてこないわね、パンクかしら?」
「さぁ…わかりかねますが、確かに珍しいことですね」
執事もこの状況を酷く不審がっているようだった。
追いついてくるはずの友人を見つけようとゲーム機そっちのけで外の景色を眺めていた天音もまた、自分のゲーム機に不審な魔法陣のような何かが写っていたことを知らなかった。
「……?ゲームまで、バグ……!?」
言ったか言わないかしているうちに突然光り出したゲーム機を止められるわけもなく…
「お嬢様!?」
執事の叫びも虚しく。彼女もまた、眩い光に吸い込まれていった。
「大阪でロケなんて楽しそうすぎるよね〜。お土産、何買って行こうかな?」
「その前に撮影があるのを忘れたとは言わせないからね?」
「やっぱりマネさん手厳しい!」
他愛もない会話もそこそこに、ゆったりまったり歩いている律とマネージャー。ここだけ見ているとほんわかしてくる。
しかし、現実は物凄く簡単に瓦解する。それを知るまで、そう時間はかからなかった。
「いよーっし!今日もがんば…うにゃ!?!」
「ん?…えっ!?ちょ、律!?」
それは突然のことだった。
なぜか自分の足元にポッカリと大きな穴。と思った刹那、彼女は光り輝く大きな穴に落ちていった。
「りつーーーーっ!今助けるからねーーーーー…………」
穴はかなり深いようで浅いようで…マネージャーの言葉を最後に、自分の死を覚悟した律は、いつの間にか気を失っていた。
おはこんばんちは!中松です♪
読んでくださりありがとうございます。
次回、『異世界と魔法とチート!?』
お楽しみに!
(サブタイトルは変更になる場合があります)