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認められちゃいました。





ーーーーー…倒れてしまった日から一転、私の生活は変わりました。




メイドカフェを開くことを夢見る私はまず今まで酷いことをしてしまった使用人たちに謝りました。そして、その仕事ぶりを観察することにしたのです。



ヴァランタン公爵家は4人家族です。父マティス・ニコラ・ヴァランタンは王都で宰相という仕事についています。母エヴァ・ルイーズ・ヴァランタン、兄ルシアン・ジョン・ヴァランタンの3人と私クロエ・イザベル・ヴァランタン。この四人のお世話をしてくれているのが使用人たちというわけです。



使用人たちの朝は早いです。使用人たちは屋敷の3階に住んでいます。朝起きると料理人たちが真っ先に朝食の準備をはじめます。ほかの使用人たちは食卓の準備をし、賄をとります。その後主人たちの身支度を手伝い、ダイニングへ。食後は各自掃除や洗濯など各々に移ります。





「クロエお嬢様、駄目ですよ。こんなところに来てしまっては。」





メイドや執事の姿を嬉々としてメモしているとメイド長のサーラにとめられてしまいました。此処は3階の使用人たちのための休憩室。ローテーションでお昼ご飯やお茶などの休憩ができるようになっています。





「だってみんなの姿が勉強になるんですもの。」





そういってふくれたようにみせると、やれやれといったように笑って





「しょうがないですね、奥様に怒られますよ。ところでクロエお嬢様、お勉強とはどういう意味ですか?」






「メイドカフェのお勉強ですわっ!」






私たちの様子をにこやかに見ていた使用人たちが一斉に固まりました。メイド長のサーラは固まるまではいかなかったのですが理解しがたいようで困惑した顔で質問をしてきました。




「……お嬢様、そのめいどかふぇ…というものはなんですか?」





そうだった。メイドカフェの存在はこの世界にはない。クロエ自身前世で働いていたので店のシステムなどはわかるのに、この世界にはない。





「わたくし、カフェを開きたいんですの!ウェイトレスがメイドさんの格好をするんですのよ。」


「……なるほど。」






そういうと使用人の一人が部屋を飛び出していきました。




ーーーーーーーーーーーーーー





使用人は両親に報告に行っていたようで私はすぐに父の書斎に呼び出されました。私の提案にお母様は少し困惑していたのですが、お父様は私の発想を面白がって許してくださいました。ただ、もう少し勉強をして大きくなってから、ということになったので書庫にて絶賛お勉強中です。




「まずは紅茶の本…、と歴史の本かしら。」




クロエ・イザベル・ヴァランタンは10歳であるものの中身は18歳の乙女。自分が今いる世界について理解を深めたいというのが本音だ。歴史の本を見つけると大きな出窓に腰掛けながらペラペラとページを捲る。




此処は建国700年ほどとなるコールリア王国。貴族の大半と一部の平民は魔力を持っており、15歳になったとき皆コールリア魔法学園へ入学する。現王マクソンス・ノエ・コールリアに、第一王子のエリアス・ルベン・コールリア。第二王子のユリス・オリヴィエ・コールリア…。そして王女様が二人。




なるほど、と考える人のポーズをする。この世界は前世の私…黒柳萌花がやっていた乙女ゲームの世界ということで間違いないようだ。ということは、私が婚約破棄され、平民落ちするのもあり得る未来というわけで…頭をぐるぐる、ぐるぐるとまわしていると当然書庫の扉がバァンと開きました。





「クロエ!僕のクロエ!勉強ばかりでは体に障る!お茶にしないか!」





ゲームの通り行くかはわからない。女好きで愛に植えたキャラクターになるはずだった兄ルシアン・ジョン・ヴァランタン。今は立派なシスコン野郎である。この男…兄が本当にあんなフェロモン野郎になるとは思えない。もしかして、クロエの中に私が入ったことで変わった…?クロエは兄ルシアンのことも虐げていた。下に見ていた。自分が可愛がっている妹にそんなことをされ続け兄の心はやんでしまったのだろうか、いろんな憶測をしてしまう。この兄をどうか救わなくては!闇落ちなんてさせない!ヒロインに近づけないぞ!





「----…クロエ、大丈夫かい。勉強のし過ぎでおかしくなってしまったのかい。」





返事をせず物思いに更けているせいでいらぬ疑いをかけられてしまいました。オロオロと心配し、私の様子をうかがってくる兄を見るとなんだか笑えてしまいました。出窓に腰を下ろしたまますらりとした左手をお兄様のほうへ向けて。





「ふふっ、ルシアンお兄様、私は大丈夫ですわ。サロンにエスコートしてくださる?」


「もちろんだよ、僕のクロエ。」







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