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残酷のアクセルリス  作者: 星咲水輝
9話 絶対冷帝
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#? 勅令の裏

【勅令の裏】


「……うん、うん。美味しいね!」

「コシが、よい」

「んんん~200歳くらい若返りそうね」


 魔女機関本部クリファトレシカ99階、邪悪魔女会議室。

 彼女らはパーティーメイカーズ。

 表向きの任務は夜会での食事を決めること。

 今日も張り切って励んでいたようだ。


「どう?」

「わたしはいいと思う。予想外の食感がたまらない」

「私も賛成よ。ぜひ皆が食べたときの反応が見てみたいわ」

「えへへ、やった!」


 とまあ、今日も平穏に任務が行われていた。


 ◆


 食事を終え、まどろんでいた三人。


「……」


 そろそろか、とカイトラが口を開こうとした瞬間。

 会議室の扉が豪快に開かれる。

 三人同時に介入者を見やる。

 パーティーメイカーズの任務は極秘。如何なる者でも許可なく干渉することは許されていない。場合によっては重い処罰を受けることもある、が。


「こんばんはァ、先輩方」


 今回の人物は珍しいケースだ。

 なぜなら、彼女もまた邪悪魔女の一人だからだ。



「……シェリルス?」


 灰燼の厄介者、シェリルス・シンデレリアだ。

 その体には幾つかのケガの痕が見れるが、三人はそんな事など気にしない。


「どうした? おこぼれに預かろうとでもしたか?」

「残念だけど、貴女に食べさせる物はもう残ってないわ。もとより分け与える気もないけど」

「先輩がたはいっつも厳しいぜ、まったく……ま、いいや」


 シェリルスは余裕の笑みを崩さぬまま。


「今回おこぼれに預かるのはあんたがたの方だからなァ?」

「……なんだと?」

「どういうこと?」

「ククク……」


 静かに笑う。その焦らすような態度にパーティーメイカーズも苛立ちを覚え始める。


「……それで? 結局きさまは何をしに来た」

「……出遭ったんだよ。《戦火の魔女》に」

「……ッ!?」


 触手の動きがピタリと止まるカイトラ。

 笑みが消え、体勢を変えるシャーカッハ。

 上下の口を開き、コップを落とすケムダフ。

 三者とも明らかな動揺。


 その様子を見て、シェリルスは笑っていた。


【勅令の裏 おわり】

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