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#16 それでも朝が眩しくて
「よいしょ、っと」
立ち上がる。十分に魔力は回復し、体も動くようになった。
「……朝だ」
遠く──アイヤツバスが消えた世界を見た。
空には戦災の残滓たる白い靄が広がっていたが、やがてそれも消え果て、一筋、また一筋と光が射し込み始める。
新たな世界と新たな道をアクセルリスに示す軌跡。ここから先は、誰もが見果てぬ未来なのだ。
「ワクワクするなあ! だって私はここにいて──」
魔女暦5555年・5月5日・5時55分。魔女機関が戦災の魔神の完全消滅を確認。
世界は護られた。そして。
「────私は、生きてる!」
銀色の笑顔が、眩い朝日に照らされた。
【Akzer&Answer おわり】