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残酷のアクセルリス  作者: 星咲水輝
49話 Akzer&Answer
260/277

#6 黒炎盛んにして戦災未だ滅ばず

【#6】



「…………」


 ゆっくりと振り向く。

 銀と赤の両目が、その姿を克明に映していた。


「…………言われた通り」


 澄み渡る声。全てを見通すかのような、理知的な声色。

 

「私も本気だから。本気で世界を滅ぼす。そのために、本気であなたと向き合う」


 戦災の魔神アイヤツバス、真体。『祠』たる神体の内で神への昇華が進んだのだろうか、その姿はこれまでと異なった様相を見せる。

 悍ましき赤黒き両目はより色を深め、奈落に輝く宝玉の如く。

 金髪の先端は赤黒く染まり、炎のように絶えず揺らめく。

 トレードマークだった黒いコートも変貌し、その体を包む黒炎のローブと化した。同様に、両手や両脚にもグローブやブーツの形を成して黒炎が纏わり付く。

 そして眼を引くのがその胸──心臓の部分より、赫耀とした赤黒い結晶が生えていた。その存在が彼女のシルエットを致命的な異形へと叩き落している。

 それは対となる影鋼の魔神と比べ、邪悪かつ禍々しき神としての具現を成す。滅亡を齎す魔神に相応しき姿だった。


「やっと──」


 アイヤツバスを瞳に捉え、アクセルリスは呟く。


「届くところまで、辿り着いた」

「私はずっとあなたの手が届く場所にいたつもりよ」

「違う」


 言葉の直後、アイヤツバスを十字の斬撃が襲った。


「──」


 急襲。しかし魔法陣に阻まれ、傷を負わせるほどには届かず。


「『刃』だ。ずっと求め続けた私の仇──家族の、故郷の、親友の、全ての仇に、今私は辿り着いたんだ」

「……そうね、おめでとう。あなたの努力の成果よ、胸を張って誇りなさい」

「お師匠サマ」


 アクセルリスが『その名』を口にするとき、その眼に映るのは一人の魔女になる。何もかもを失っていた自分に手を差し伸べて救ってくれた、恩人に。


「ありがとうございました」


 しかしその言葉は、殺意を極限まで漲らせたままに。


「あなたが全てを奪いながら、その先の道を指し示してくれたから、私は今ここにある」

「……それが、何?」

「だから私があなたを殺します。戦火の魔女へは復讐のために。戦災の魔神とは生存のために。そしてお師匠サマ──あなたにはありったけの感謝と愛をもって、殺す」


 数多の感情、数多の理由を混ぜ合わせながら、その一つ一つを確かに選び上げ、刃へと宿らす。

 アクセルリスのエゴは今此処に完成した。我成すことは我のみぞ知る──それは何よりも身勝手で輝かしい、残酷(Akzeriyyth)


「言ってくれるようになっちゃって」


 アイヤツバスは微笑みと共にその言葉へと答える。


「弟子の成長がこんなにも嬉しいだなんて──長生きしてみるものね、案外」

「なら止めるか、世界の滅亡を」

「まさか。それはそれ、これはこれよ」

「だよね」


 聞く価値もない問いだった。元よりそんなことには気付いている──アクセルリスはシニカルに笑う。


「じゃ、結局やることは変わんないわけだ」

「みたいね。まぁ、ムード作りの時間だったってことで」

「うん、そうですね! いい感じに盛り上がってきたし」


 二柱の魔神は笑い合った。それはまるで二人が魔女だったころ、他愛のない会話に花を咲かせるかのように。


「あははははっ!」

「ふふっ」



 ────そして。



「死ね! アイヤツバス!!!」

「消えなさい、アクセルリス──!!!」



 銀と赤黒の潮流が正面からぶつかり合った。



「はあああああぁぁ──ッ!!!」

 アクセルリスによって圧し込まれる双剣、それと拮抗するのは一枚の赤黒い魔法陣。

「……強い、わね」

 太刀筋を阻みながらも、アイヤツバスは苦しそうに目を細めていた。そして捉えるのはその刃。

「それ──あなたが剣を持ってる時点で気になってたけど、ただの剣じゃないわね?」

「そうだ! これは皆が繋げてくれた、世界の意思!」


 振り被るのは右に握る剣、世の頂点に座す業物。


「あなたに運命を弄ばれて殺された命が繋げた果て──『トガネ』だッ!」

「へぇ──」

 直後、遂に魔法陣が切り裂かれる。アイヤツバスは一重で身を退いて逃れるが、アクセルリスの追撃が止むことはない。その命を討つまでは!

「しゃああッ!」

 稲妻のように駆ける刃。アイヤツバスの頬を掠める。同時に空をも切り裂き、風の流れを変える。

「その名を使うとは。余程、なのね」

「当然ッ!」

 一刀、一意専心。両手でトガネを握り、更に鋭く素早い斬連撃でアイヤツバスを追い込んでゆく。

「……ああ、成程。それがカーネイルの示唆していた『縁』を断つ剣ね」

「ッ!」


 鋭く、その剣の本懐を見抜く。


「私を完全に殺すのに必要な剣。そうよね?」

「だったらどうする!」

「なるべく気を付ける」

 なお鬼気を滾らせ乱舞する『トガネ』。アイヤツバスはそれに過剰すぎるほどの意識を向けた。

「ああ、全て見えてしまう。あなたがそれを振るう姿、それが宿す力、それを繋げてきた命たち」

 一瞬で生まれ、一瞬で消える魔法陣。その刹那の花びらが刃を阻み続ける。快音・花空の渦中、アイヤツバスに浮かぶのは恍惚にも取れる表情。目を細めて笑う。

「元々『それ』は私があなたに授けたもの。ならオリジナルは私の手の中にあると思わない?」

「トガネはトガネだッ! あなたのものでも私のものでもない!」

「立派な答えね。でも少し、執着し過ぎているわ」

「──はああッ!」

「だから、ほら」


 重く振り下ろされるトガネを──アイヤツバスは受け止める。見れば腕に纏う黒炎が結晶化し、刃を阻むほどの頑強な鎧の姿を成していた。


「届かない。残念ね」


 嘲り。『トガネ』を繋げてきた全ての存在へのそれを見せ、アクセルリスを見下ろす。

 一瞬、その表情は揺らがなかった。直後。


「それでいい」


 アクセルリスの口角が上がり、牙が見える。

 それに気付いた瞬間には、既に事は起こっていた。


「う──」


 どん、と衝撃を受けたようにアイヤツバスの身体が揺らいだ。同時に、その腹部から鈍い痛みが広がった。

 それはアクセルリスの蹴りが──否、蹴りに乗せられたもう一つの剣が突き刺さったからだった。


「私の策に──もう一本の剣に気付かないなんて、私に執着し過ぎなんじゃないですか? お師匠サマ!」

「…………」


 回転する刃の魔法陣が降る。アクセルリスはそれを躱し、身を翻す。

 アイヤツバスは尚も言葉を発さぬまま、剣を引き抜き投げ捨てた。それは僅かに空を舞った後、飛翔するアクセルリスによって取り戻された。


「何の変哲もない剣がこんなに痛いなんて」


 アクセルリスが再び舞台に舞い降りる。そのときにはアイヤツバスの傷は完全に塞がっていた──だが、痛苦は確固として残り続ける。


「変哲が無くても、私にとっては大切な剣だ」


 その柄を握ったまま拳を胸に当てる。影鋼の魔神、その強い脈動が伝わり、刀身が生きているかのように震える。


「親友──ファルフォビアから預かったんだから」

「ファルフォビア──ああ、あの」


 心底興味のなさそうな表情でアイヤツバスは問い返す。


「死んだの? 彼女は」

「──生きてる。ファルフォビアは今も生きてるんだ」

「あの状況から生還できたのね。ま、どうでもいいけど」


 森と共に炎の中へと送ったエルフも、アイヤツバスにとっては些事の中の一つに過ぎない。故にアクセルリスが仕込んだ策の一撃にも勘付かなかった。

 だが当事者には──その命の最上の輝きを見届けたアクセルリスにとっては。


「…………どうでもいい?」

「ええ、どうでもいい」

「訳ないだろッ!!!」


 怒号、一閃。あらゆる感情、あらゆる存在よりも速く伝わり届く、怒りの斬撃。それはアイヤツバスのあらゆる反応を超え、その首筋に横一文字の傷を刻み込んだ。


「────」


 迸るのは血ではなく赤黒い魔力の炎。首元から燃え盛り続けるそれはマフラーのように靡く。


「私の親友──私が()になってから初めてできた友だちの! その命が! どうでもいいと言えるのか!!!」

「ええ、言うわよ」


 しかしアイヤツバスは恐ろしいほど冷静に言葉を返す。炎に照らされ、表情には黒が掛かる。


「私にとっては私とあなた以外、全部どうでもいい。私の世界にあるのは私とあなたの二人だけだから」


 瞳が狂おしく輝く。ただ一人、滅びの外道を歩んでいたアイヤツバスが見出した宝石こそがアクセルリス。孤独を埋め合わせるように出逢った師弟──よりそれに執着していたのは、アイヤツバスだった。


「後は全部、燃えてしまえばいい」

「……分かりません。あなたの考えていることは──昔から、ずっと」

「分かって貰おうとは思ってないわ──昔から、ずっとね」


 永久なるのは互いの不理解。悲しき師弟は、それを改めて確認し合った。


「…………痛い」


 アイヤツバスは首に手を当てる。傷が塞がらない。斬撃に乗せられていた鋼が蠢き、その再生を妨げている。


「私からのプレゼントです。今までの感謝を込めて殺す。そう言ったでしょ?」

「この痛み。あなたが私にくれた痛み──なら、味わってみてもいいわ」


 狂気を孕ませ、アイヤツバスは笑顔を浮かべた。


「代わりに、それ以上の痛みをあなたにあげる」

 その姿が消えた。赤黒い残像が帯となり、その軌道を示している。

 魔神となったアクセルリスの眼であれば、それを追うことなど易い。迅速に対応し、振り向く──そして目を見開く。


「な」

 それはアイヤツバスが振り被る、余りにも巨大な魔法陣を目に映したからだった。これまでの旅路で見たことがないほどの規格外、アクセルリスの本能が瞬時に『死』への恐怖を呼び起こす。

「受け止──いや無理!」

 稲妻の状況判断。アクセルリスはそれとの拮抗を避け、その場で跳びながら身を水平に曲げ、寸ででの回避を選んだ。

 彼女の眼前を魔法陣が通り抜ける。ただそれだけで、終わりなき『滅び』を感じてしまう。

「ッ! 今更何に怖がってんだ私!」

 恐怖は噛み潰す。でなければ死ぬからだ。着地を成した両脚で舞台を強く踏み締める。それと同時に剣を構え、斬り伏せるべき敵を捉える。

 しかしそれは同時に、魔法陣を宿した拳を大きく振り被るアイヤツバスの姿──それを観測してしまうことをも意味していた。

 迫る追撃、その威力もまた計り知れず──だがアクセルリスは真っ向から噛み付くことを選んだ。

「私の手で──潰れなさい」

「うおお──ああああッ!!!」


 赤黒の打撃と銀の斬撃が真っ向から衝突する。それははじめ、完全な拮抗を見せていたが。


「もう一押しするわよ。喰い縛って」


 アイヤツバスの腕に魔法陣が浮かび上がり、そのまま炸裂した。


「ぐぅ──うぉあああああっ!」


 それはアクセルリスを高く遠い宙へと吹き飛ばすほどの威力。通常の衝撃波に加え、黒炎を宿す魔神の腕を巻き込み炸裂させたことで、その爆発力は数倍以上に跳ね上がっていた。

 当然、衝撃の源となったアイヤツバスの腕は痛々しく引き千切れる。だが彼女が傷の断面に手を添えると、そこから赤黒い炎が渦巻き、一瞬で新たな腕を再生させる。

 いとも容易く再生を成せるほどの絶大な魔力、それに依存した狂った神事。魔神であっても苦痛が伴うものだが──己を含めた全てを滅ぼそうとする破滅願望を持つアイヤツバスにとっては関係のない話だ。


「次──こんなのはどうかしら」


 言うとアイヤツバスは両手を広げ、回り始める。それは一見すると無邪気な子供の愛おしさを感じさせるが、これもまた邪悪極まる破滅の儀式。

 それを裏付けるように、靡くマフラーやローブ、それらが残す赤黒い炎が段々と槍の形を成し、アイヤツバスの周囲に生み出されていく。


「槍、好きでしょ。もっとあげる」


 膨大な数の槍が生まれたのを見て、アイヤツバスは指を鳴らした。その号令に従い、全ての槍がアクセルリス目掛けて飛立った。


「マジか、よ……!」

 無数の黒炎槍が一斉に自身へと迫る光景を目に映し、アクセルリスは歯を打ち鳴らす。あれだけの数は耐えられない。本能がそう囁き、手に力を籠める。

「しゃあ、あああああ────ッ!!!」

 極限の脅威、極限の剣舞。襲い来る赤き死を片端から斬り捨てながら、アクセルリスは真っ直ぐに飛ぶ。

 彼女を取り囲む銀色の帯、それだけが剣の存在証明。神の斬撃と風圧を受けた炎の槍は消えるが──その数は余りにも無尽蔵だった。

「あ──く、ぅ!」

 そして遂に、一本の槍が彼女を穿った。足先、ほんの僅かな傷だったが、後続を導くには十分すぎる一番槍。

 戦災の炎は生命を髄から燃やし尽くす。その感覚にアクセルリスの動きがほんの一瞬だけ鈍った。

「────」


 それだけで、残る全ての槍が彼女を取り囲んでいた。


「うおお、おおおおおおお──ッ!」


 瞬時の状況判断、アクセルリスは防御の態勢を取る。腕と剣を交差させ、流体金属の球で身を包む。

 直後、炎の槍たちは一斉にそれへ突き刺さる。


「ァぐ、あ……」


 鋼の内で呻く神。辛うじて急所は躱したが、それでも彼女の全身、そのあらゆる部位を槍が貫いていた。


「痛い……痛い痛い痛いッ! あああああッ!!!」


 痛苦に耐えるように叫ぶ。それは離れたアイヤツバスにも届くものだったが、そのアイヤツバスは冷静に動く。


「まさか、これで死ぬとは思ってないわよ」


 アクセルリスの生への執念、それを誰よりも知っているのがアイヤツバス。故に、その滅びは入念に。

 彼女が手をかざすと、槍の形を成していた黒炎が一斉に騒めき立ち、猛る炎の姿を取り戻す。それは鋼ごとアクセルリスを包み込み、人間大の火球となる。


「あ──あああああッ──!!!」


 火中、アクセルリスは叫ぶ。命が燃えるメロディを聞きながら、かざした手を握った。

 すると命令に従うかのように、火球が彼女の元へ引き戻され、そのまま決戦場の大地に叩き付けられる。


「が──は、ァ」


 その衝撃で炎こそ消えたが、苦痛と嫌悪感は今もなおアクセルリスを蝕み、その体を臥したままにさせる。


「直接、やらないとね」

「…………」


 用心深く、執念深く──アイヤツバス倒れたまま動かないアクセルリスの元へと歩み寄る。

 そして静かに右足を上げ、その心臓を踏み潰そうとした。


「────あっ、はは!」


 アクセルリスが笑った。

 直後、アイヤツバスの右足が宙を舞っていた。根元より切断され、赤黒い魔力が迸る。


「得意なんですよね、やられたフリ! まさかあなたに使う日が来るとは思ってなかったけど!」

「……ええ、お見事」


 アイヤツバスは尚も平静を乱さず。脚の断面、そこに魔力を集中させ、眼下のアクセルリス目掛けて無数の槍を発射した。


「それはもう勘弁! マジ痛いから!」


 影鋼の翼が大地を掴むように稼働し、回避と共に間合いを確保した。


「っと、と! ああ、痛いなぁ……!」


 立ち上がるアクセルリス。追撃こそ避けたが、先の攻防による負傷と消耗は激しく。だがその眼は死んでいない。それは、一つの可能性を得ていたから。

 脚を再生させながら、眼差しへアイヤツバスは問う。


「その傷で戦うの?」

「まさか! やってらんないね」

「なら、何を? あなたは再生もできないのに」

「そこっ!」


 言葉を遮るように、アクセルリスは指を刺した。


「そこが問題なんだ。魔女だったときの私は治癒魔法なんて使ったことがなかった。だから意識することがなかったけど──魔神なら、()()ができる」

「──へぇ、気付いたのね」

「優秀な魔女の弟子だからね! 実際、誰かさんが何度も何度も再生するのを見て思い当たったっていうのもある」


 不敵に笑み、全身に魔力を漲らせる。赤い右眼が強く輝いたのと同時に、影の中の右眼にも赤い光が灯った。


「私は《鋼の魔女》じゃない。《影鋼の魔神》だ。だから私の力は一人だけのものじゃない!」


 強い言葉の直後、その影が沸き上がり、形ある潮流としてアクセルリスの身体を覆い尽くした。


「感じるよ。あの日からずっと私の中にあるもう一つの命──私と一つになったトガネの命を!」


 叫ぶ。纏わりつく影が弾け、その内より傷一つない完璧なアクセルリスの神体が顕現する。


「……ふふ、やるじゃない。魔神としてより高みへ近づいた証明よ、おめでとう」

「どうも。私もトガネとあなたに感謝しますよ」


 神による純粋なる賛美。ここに、互いの神は対等なる存在になった。


「……そして、あなたの攻撃──魔力が籠った槍を何度も受けたおかげで、出来るようになったこともある」

「何かしら?」


 返す言葉の代わり、アクセルリスはアイヤツバスの背後を指差す。


「──」


 ゆっくりと振り向く戦災の眼が捉えたのは、影色に染まったアクセルリスが刃を振りかざす姿。


「あら、これは」


 少し驚いたかのような表情を見せたが、それでも落ち着いた様子で魔法陣を構え、その影を引き裂いた。

 刃は届かず、言葉もなく、解けるようにしてそのアクセルリスは消える──言うまでもなく、影によって編み上げられたアクセルリスの分身だった。


「トガネの力ね。それをあなたがここまで使えるようになっているとは」

「あいつは死んだ。一度死んだ命が私の中にある──だから、私は生をもっともっと強く冀うようになった」


 構える。その背後に鋼と影の槍が生み出され続け、軍勢を成す。


「いいわね、やっとらしくなってきた──」


 狂おしく。アイヤツバスは満面の笑みを浮かべる。それは彼女史上、最も花開いた表情。




【続く】

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