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残酷のアクセルリス  作者: 星咲水輝
48話 最後のキスの味
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#5 今、加速する終わりへ

 冷たい足音。それが響いていたのは何者もない静かな通路。やがて絢爛な広間へと移る。


「…………」


 それを聞き、一人、また一人とその場にいた魔女が、音の主を見る。


「バシカルさん」


 呟いたアクセルリス。灼銀の瞳に映るバシカルの顔は、何かを成し遂げ、何かを失い、何かを決意した表情を見せていた。


「遅くなったな」


 しかしバシカルは当惑も動揺も見せぬまま、普段と変わりない声色で語る。故に、魔女たちもそれを推し量る。


「剣はここにある」

「……ありがとうございます」

「終局には間に合ったが──猶予は無いようだな」


 黒い眼が映すのは、遠景にて魔力を胎動させる戦災の魔神。


「そうだ」


 絶対冷帝キュイラヌートが声を返した。


「すぐに始めるぞ。皆、覚悟は良いな」



 見渡す。バシカル、イェーレリー、シェリルス、アディスハハ、アクセルリス、カイトラ、シャーカッハ、ケムダフ。邪悪魔女たちの表情は、一様にして固く、そして熱く。



「この戦いで全てが決まる」



 言葉は重く、しかし振り切る。



「さあ────世界を救うぞ」




【次回 《49話 Akzer(アクセル)Answer(アンサー)》へ続く】

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