#4 生命の福音
【#4】
「…………あれ」
目が覚めるとアクセルリスは見覚えのないところにいた。
天井。室内? ベッド。病院?
「……う? 私なんで……」
起き上がるアクセルリス。その時初めて、身体に痛みが残っていないことに気付いた。
「あれ? 元気だ」
体を見てみる。軽い傷は全て癒え、無くなっている。
包帯の下の大きな傷も、ほとんど治癒されているのが分かる。
変色していたお腹も元の色に戻っている。
「??」
彼女が不思議そうにしていると、奥の部屋から声が聞こえてきた。
「あら、起きたのねアクセルリス」
現れたのは桃髪の魔女。アクセルリスもよく知る人物。
「シャーカッハさん? どうして?」
邪悪魔女7iシャーカッハだ。
「あなたはラッキーだったわね。私がたまたまこの街に来ていたから」
「街? ええと、私どうなったのかよく分かってなくって……」
「よっぽど大変だったのね。ほら、そこ」
シャーカッハが指差した先には眠るトガネ。
「彼が貴女を街の入り口まで運んできたのよ。私が貴女をここに運んだら、安心したのか眠っちゃったわ」
「……そうだったんだ。助けられてばっかりだね、トガネ。ありがとう」
「あとこれ、直しておいたわよ」
取り出したのは伝気石。
「けっこうなレアものなんでしょう? 壊したままじゃ勿体無いわ」
「直せたんですか? 結構損傷が激しかったみたいですけど……」
「私は《再生の魔女》。この程度の修復なんて安い安い」
「再生……それじゃあ、私の体も?」
「ええそうよ。普通だったら過剰再生のリスクがあるから直接治療はしないんだけど、そうも言ってられなかったしね」
「ありがとうございます……伝気石、使えるようになったんですか?」
「勿論。魔力を通してみたら残酷魔女の娘と繋がったから、とりあえず分かる範囲で連絡しておいたわ」
「アーカシャさんは何と?」
「『今はまず傷を癒し、無事クリファトレシカに帰還せよ。報告はその後でいい』って」
「……分かりました」
今回も、報告しなければならない事が多そうだ。
アクセルリスは目を閉じた。
【煉獄、砂糖抜き おわり】