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#9 世界の灯火
「…………」
覚束ないまま立ち続けていたアクセルリス。日は失われ、夜が世界を支配していた。
「……戻らなきゃ」
長い時。やっとの思いで感情を仕舞い込み、動き出す。
「シャーデンフロイデさん」
肉塊の側に寄り、それを探る。
殺伐は成されず、斃れた。しかしそれでも、彼女が存在した証明はしなければならない。
アクセルリスはそう考えた。故に、シャーデンフロイデの遺品を探したのだ。
「……ん」
そしてアクセルリスは気付く。
右手の内から見える、赤い光に。
「これ……って」
それは世界を正しい方へ向かわせる、小さな小さな火。
燃え続ける魔女たちの意志。その灯火だった。