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残酷のアクセルリス  作者: 星咲水輝
38話 戦火はただ、殺伐と
198/277

#8 終焉の黎明

【#8】



「さて」


 アイヤツバスは見回す。

 命脈の障壁は、気が付く間もなく消えていた。

 故に、その眼に留まったのは呆然と立ち尽くすアクセルリスだけだった。


「アクセルリス──あなたはどうする?」

「私は…………殺す……」


 震える声で。


「うんうん。私が見出しただけはある、素晴らしい鋼の心」


 嬉しそうにそう言う。それは間違うべくもない本心だ。


「だけど今のあなたにそれができるのかしら?」

「それは」

「言わなくていいわ。そのくらい分かってる。あなたの師は私だからね」


 一方的に結論付ける──だが、正を得ている。


「私も手負いだし、準備することもある。今日のところはここまで」


 逃走の意志。アクセルリスにそれを妨げる力は、ない。


「だけど忘れないでね。戦火の魔女はこの世界に蘇り、世界を滅ぼすために動いていることを」


 世界の向きは変わったのだ。歪んだ運命に導かれるようにして、既に。


「魔女機関の──そしてあなたの動き、楽しみにしているわ」

「私……の……」

「分かってると思うけど、健康には気を付けてね。それじゃ」

「待っ……!」


 アイヤツバスは背を向ける。アクセルリスは手を伸ばす。


「またね、アクセルリス」



 そして消えた。



「あ…………」




 残されたのは陰惨たる戦いの残滓と、禍々しき魔力と、暗黒へと進み続ける絶望だけだった。




「──────!!!」



 音のない銀色の咆哮──それは、数えきれないほどの感情とともに。





 そして世界は、赤黒い終わりへと向かい始める。




【戦火はただ、殺伐と おわり】

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