表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残酷のアクセルリス  作者: 星咲水輝
32話 彼方より来たるモノ
153/277

#5 永久なる相克のウロボロス

【#5】



 その日の夜。アイヤツバス工房の食卓。

 普段と変わらぬ──「二人」の食卓。


 もともとは、この二人の食卓が、当たり前のものだった。


 しかし、この一年で、アクセルリスの中では「三人」の食卓が当たり前になっていた。

 そしてこの欠乏からなる空虚感は、ずっと当たり前にはならないだろう。



「……ねぇ、アクセルリス」


 食事を終えたあたりで、アイヤツバスが切り出した。


「貴女、コフュンのことをどう考えてる?」

「また急な」

「少し、気になっちゃってね」

「まぁ、そうですね……相容れない存在、許してはいけない存在……といったところですか」


 その眼に迷いはなかった。


「死んだら終わり。死んでしまったものは、もう生き返らない。それがこの世界の理なんです」


 彼女の言葉には、悲し気な力が籠る。


「あいつはその原理を、根底から覆してる。そんなの、あってはならないこと」

「成程ね。確かにそう」

「だから殺します。何としても、殺します」


 残酷な鬼気を見せるアクセルリス。しかしアイヤツバスは、対照的な笑みを零した。


「……ふふっ」

「な、なんですか」

「いえ、思った通りのことを言ってるな、って」

「むっ。お師匠サマ、わかってて聞いたんですか。いじわるだー」

「ごめんなさい。でも、聞けて良かったわ。アクセルリスがアクセルリスらしくいられてるのが聞けて」

「……変わりませんよ、私は。あいつにも、そう言われたので」


 右目を抑える。心なしか、熱い。


「────ええ、それがいいわ。きっと、ね」


 アイヤツバスもそう言って、小さく笑った。



【彼方より来たるモノ おわり】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ