おまけ
【おまけ キャラクター&用語解説】
・トガネ(Togane)シェイダー
本名は恐らく《トガネ・ゴグムアゴグ・アルジェント》。
アイヤツバスが生み出したアクセルリスの使い魔。アクセルリスを〈主〉、アイヤツバスを〈創造主〉と呼び慕う。
トレーニングにより、影を編み上げることが出来るようになった。
作中においてはアクセルリスの姿を編み上げ、二人目の彼女となることに専念していたが、訓練次第では他の人物になることもできただろう。
彼は、幸せだった。
最後まで、彼はアクセルリスの頼れる相棒であり、仲の良い弟であり、そして──
・アラクニー・ブラックウィドー(Aracne-Blackwidow)呪術の魔女/呪術師
魔女機関において『呪術師』を務める魔女。キュイラヌート直属。身長183cm。
背部に装備されている2対4本の複腕が故、彼女は計6本の腕を持つ。
普段は与えられた『呪術室』なる部屋にて、何らかの作業に没頭している。
呪術師、という肩書だが、本業は作中で行ったようなカウンセリング。だが呪術の腕も魔女機関トップクラス。
不思議な話し方をするが、これは単なる趣味で、いい感じのリズムを見つければ変わる。
真黒な髪を床に付くほど伸ばしている。表情は前髪によって隠され、不気味。その隙間から覗く眼は真紅だ。
・クラウンハンズ・ブラッドステッカー(Clownhands-Bloodsticker)吸血の魔女/外道魔女
魔女枢軸の外道魔女。『美』にはうるさい。身長177cm。
美しさを追い求める魔女であり、行きついた美学に基づいた行動を取った結果外道魔女となった。
『効率的に多くの血を得られる』という理由で魔女枢軸に参加したが、その末路は本編のとおりである。
そもそも彼女がこのような独断行動を起こすだろうことは、側近やゲデヒトニスによって想定されていた。つまり、彼女の死は魔女枢軸にとっては想定内である。
操る魔法は己の肉体を血に変換するというもの。かなり高位の魔法であり、彼女の高いポテンシャルが窺い知れる。
本来ならばもっと多様な変化を見せることが可能な魔法だが、本編においては血牢の維持に魔力リソースの多くを割いていたため、本来の性能を発揮できなかった。
白銀の長い髪と血のように紅い眼及びドレスが美しいコントラクトになっている。
・ソルトマーチ・バンケット(Saltmarch-Banquet)御旗の魔女/外道魔女
魔女枢軸の外道魔女。『英雄』を目指した。身長166cm。
彼女の魔法は一定の領域を作り出し、その範囲内の生物を(自身含めて)分け隔てなく強化するもの。
一歩間違えれば敵に塩を送ることになるため、彼女は常に相手のと距離感を気にする。
直接戦闘する場面は描かれなかったが、本人の戦闘能力は魔法での強化含めて平均以上。
作中において、彼女はアクセルリスの精神を完膚無きまで叩きのめす為に情報を仕入れたが、残念ながらそれはガセネタだったようだ。
暗い茶髪に軽装の鎧を着込むのが彼女の魔装束。目は黒色。称号にもある御旗は普段は束ねて背負っている。
・メラキー・ソロウ(Mercy-Sorrow)慈愛の魔女/外道魔女
魔女枢軸の外道魔女。慈悲深い修道者。身長163cm。
普段の立ち振る舞いは、恵まれない人々に助けの手と共に布教を行うという、敬虔なデヴァイタル教徒そのもの。
デドウメドウ一族とも有力なコネクションを結んでいた。
だが、その性根は救いようのない下衆。他者が転落するさまを見るのを至上の愉悦としている。布教を行っているのもその為だ。
魔女枢軸に肩入れしたのも、より多くの愉悦を味わえると考えての行動である。
アディスハハには里にいたころから目を付けており、「いつかこの娘が幸せの絶頂から墜落する様を見たい」と望み続けていた。
巡礼中に、とある村で身寄りのない娘を引き取った。それが彼女の弟子となるプルガトリオである。
得手とする魔法は炎と洗脳。プルガトリオが《劫火》の称号を得たのも、彼女の影響が少なからずにある。
赤みの強い橙色の髪、緑色の目。その魔装束は一目でデヴァイタル教徒と分かるようなもの。
・アントホッパー・アンチノミー(Anthopper‐Antinomy)背反の魔女
魔女枢軸に所属していたものの、外道魔女ではなかった。『善』とされる左側黒髪と『悪』とされる右側緑髪で構成されている。なお、目の色はどちらも茶色。身長168cm。
彼女の特異性は作中の通り。それぞれ背反する感情が二つの頭に分離した形となるが、根本的に同一人物のため、どのような感情であれ結論は大体一つに集約される。
『善』は生真面目な性格で、一言一言が長く早口。冬に備えてせっせと働くタイプ。
『悪』は享楽的かつ粗暴、破滅的。ざっくばらんに言ってしまえば気の利かないシェリルス、といったところか。
言うまでも無いが、感情を『善』『悪』ときっぱり分けてしまうのは本来好ましくない事である。その場の状況において、善悪とは容易く好転するものだからだ。
作中でも述べられている通り、『善』側/『悪』側はあくまで便宜上の区分であることを留意されたし。
なお、彼女が邪悪魔女に参入することは魔女枢軸にとっては想定内の出来事であるようで、彼女から魔女枢軸に関する有力な情報は得られなかった。無念である。
・バースデイ・ナティヴィティ(Birthday‐Nativity)誕生の魔女/外道魔女
魔女枢軸の外道魔女。己が生まれた意味を求め続けた求道者。身長161cm。
人当たりがよく、魔女枢軸の中ではクセのあるメンバーを繋ぎ止めるような役目も果たしていたようだ。
ゲームが趣味だが、それは自分自身の生もゲームの延長線上でしかないと考えているため。
結局のところ、彼女の生まれた意味は不明。あの世があれば、何かに気づけたのかもしれない。
ただ、アクセルリスとトガネがそのカギを握っているという彼女の見立ては、正しかったことだろう。
短めに整えた黒髪に碧眼、目立たない黒い魔装束。竜を取り込むと、魔装束の上に鎧が生成される。
・初代邪悪魔女
魔女機関を建立した10人の魔女。
元々、彼女たち10人は単なる組合にすぎなかった。
だが、当時に魔女社会は統治者がなく、混沌と混乱に満ちた魔戦獄時代であった。
そんな魔女社会を治めるための機関が必要と考えた彼女たちが作り上げたのが《魔女機関》である。
メンバーは以下の通り。
・1i 天の魔女ティエラ(Tierra)
・2i 音の魔女アムドシア(Amduscias)
・3i 白の魔女ホワイト(White)
・4i 命の魔女ゼニス(Zenith)
・5i 氷の魔女キュイラヌート(Qimranut)
・6i 歪の魔女ベルフゴル(Belphegor)
・7i 時の魔女クロノクリシス(Chronocrisis)
・8i 無の魔女ヌル(Null)
・9i 戦の魔女ケター(Keter)
・10i 極の魔女ザミエル(Thamiel)
・はじまりの外道魔女
10人の邪悪魔女を中心として、魔女社会の統治に尽力していた魔女機関。
だがある時、9i・戦の魔女ケターが突如として叛乱を起こす。
強大な力を持っていたケターに魔女機関は苦しめられるが、最終的には1i・天の魔女ティエラがその命と引き換えにケターを打ち斃した。
これにより、魔女機関に抗う魔女を《外道魔女》と呼称し、強く取り締まるようになった。
その後、10i・極の魔女ザミエルは責任を取り辞職。
これを機に邪悪魔女の入れ替わりが始めることとなった。
・呪われた数字
邪悪魔女9iは初代であるケターが叛乱を起こし最初の外道魔女となったことから曰く付きとされている。
事実、9iに着任した魔女たちはその殆どが不幸な事件や事故で早々に命を落としている。
だが、アイヤツバスは例外であった。
彼女はこれまでいかなる災禍にも見舞われることなく、邪悪魔女9iとして着任し続けている。
・魔女機関の部門
8つの部門が存在し、邪悪魔女の2i~9iまでがそれらを管轄する。
法務官/法務部門担当:邪悪魔女2i 骸の魔女イェーレリー・オストロスト
法の番人。法を犯した魔女を裁き、然るべき罪を与える。衛星組織の顧問弁護士を務める者もいる。
威力部門担当:邪悪魔女3i 灰の魔女シェリルス・シンデレリア
外交官。魔女機関衛星組織や外部組織との交渉を担当する。名前が物騒だが、魔女機関創立当初は結構過激な部署であった名残。
薬学部門担当:邪悪魔女4i 蕾の魔女アディスハハ・デドウメドウ
薬師。新薬の開発が主な任務。医療部門とはマブダチ。生態系の調査という名目で環境部門とも多々手を組む。
環境部門担当:邪悪魔女5i 鋼の魔女アクセルリス・アルジェント
環境保護局。生態系の保護や研究、魔女機関管轄地域の開拓が任務。結構な雑用係。魔女機関の手足。
財政部門担当:邪悪魔女6i 変異の魔女カイトラ・アルコバレノ
金融機関。魔女機関内部の財務会計、そして魔女機関を取り巻く市場状況の管理を行う。魔女機関の心臓部。
医療部門担当:邪悪魔女7i 再生の魔女シャーカッハ・ヒュドラゲンゲア
医師。各地の魔女医師の元締め。クリファトレシカで勤務する者はエリート中のエリートだ。
防衛部門担当:邪悪魔女8i 暴食の魔女ケムダフ・アイオーン
自警団。魔都ヴェルペルギースの警備が仕事。各地で起こった揉め事や乱痴気騒ぎを鎮めるのが主で、外道魔女などは残酷魔女に委託する。
研究部門担当:邪悪魔女9i 知識の魔女アイヤツバス・ゴグムアゴグ
探究者。その名の通り色々なことを研究する。他の部門をこき使うこともしばしば。魔女機関の脳。
・デドウメドウ一族
最後は《西の死の荒野》に里を構えていた一族。けっこうな名門で、アディスハハもこの出身。
数百年に一度のペースで里ごとの大移動をすることでも知られている。
有力な魔女を多く輩出することで有名であり、魔女社会においては一定のステータスを保有していた。
現在は宗教テロリストの手によって里は壊滅し、街や都市に出て暮らしていた一部だけが残っている。
とある悪習が根付いており、それが一族崩壊の導火線となってしまっていた。
基本的にデドウメドウの魔女は『生命エネルギーを枯らす、奪う』能力に長けており、特に魔法を行使せずとも周囲の大地からエネルギーを吸い上げる。
故に、里の周囲は荒野となる。荒野に一族が住むのではなく、一族が住むところが荒野となるのだ。
・魔合身獣
グラバースニッチが編み出した技術。
特殊な呼吸法を用い、己の魔力を過剰に生産、供給する。
全身に膨大な魔力が行き渡り、グラバースニッチの《獣》の魔法の場合、傷の再生や身体能力の向上が作用として現れる。その様子は《魔獣》に例えられることから、アーカシャがこの名を付けた。
副作用として、魔力を過剰なほど生み出すため、一歩間違えれば魔力のオーバードーズを起こし、体調不良や失神を招きかねないことが挙げられる。
現在、発案者であるグラバースニッチ以外に使用者はいない。
おそらく《獣の魔女》である彼女の魔力構造でのみ成し得る技であると考えられており、ミクロマクロが呼吸法を真似したところ腹筋が攣るだけという結果に終わった。
・アクセルリスの家族
鋼の魔女アクセルリスは6人家族だった。家族構成は以下の通り。
父 オーア・アルジェント (享年38歳)
母 シルヴィア・アルジェント (享年37歳)
長女 アクセルリス・アルジェント
次女 アズール・アルジェント (享年11歳)
長男 ギュールズ・アルジェント (享年9歳)
三女 パーピュア・アルジェント (享年9歳)
アクセルリスは長女として3人のきょうだいの面倒を見ていた。
それは彼女にとって本当に幸せな時間だっただろう。
なお、《頽廃の岡の大戦火》が起こったのは、作中現在から遡って14年前である。
もしアルジェント一家がそれに巻き込まれていなければ、今頃は──と、アクセルリスは時たま考える。
・魔都ヴェルペルギース
中央に建つクリファトレシカを中心に、東西南北4つの地区に分かれている。
全ての地区の面積は等しい。また、駅からクリファトレシカに続く大路がそれぞれ1本ずつ伸びている。
・東部ケイトブルパツ地区
頭が重く大きい牛のような獣、ケイトブルパツを守護獣とする東部地区。
4地区の中で最も活気に満ちている地区で、駅の利用者も最多。
広場のような空間が多く、そこかしこに屋台が所狭しと並ぶ。連日のように祭りも開催され、賑わいが途絶える日もほとんどない。
大衆向けの食事店が多く、良くも悪くもクセがないと、アクセルリスは語る。
・西部パーガスッス地区
翼の生えた馬のような獣、パーガスッスを守護獣とする西部地区。
博物館や美術館といった文化的施設が多い地区。高尚な雰囲気が漂う。
ヴェルペルギースに2つある学校も両方がこの地区に存在する。
ホテルなどの宿泊施設も多く、ケイトブルパツ地区に比べると静かだが、それでも賑わいは多い。
博物館のレストランにはたまにアタリがある、とアクセルリスは語る。
・南部カーバロソ地区
三つ首の犬のような獣、カーバロソを守護獣とする南部地区。
主な産業は土産や料理店。大衆向けのケイトブルパツ地区に比べ、専門的な料理店が多い。
カーバロソ駅は外からの食料品や嗜好品などを仕入れる列車が訪れる。
それの影響か、この地区には他の地方の文化とヴェルペルギース特有の文化が入り乱れた独自の雰囲気があるのだ。
人を選ぶが、好きな人にはたまらないようなモノが多い、とアクセルリスは語る。
・北部テテュノーク地区
胴体の太い蛇のような獣、テテュノークを守護獣とする北部地区。
テテュノーク駅は魔女機関への物資を運ぶ貨物列車や関係者専用の列車が多く、観光客の利用は4駅の中でもっとも少ない。
魔女機関衛星企業のオフィスや倉庫、魔女機関で働く魔女の住居などが占めているため、とても閑静。
数は少ないが、隠れた名店が多い、とアクセルリスは語る。
タランテラの店、『Aria-DONE』もこの地区にある。
・クリファトレシカ
クリファトレシカはどの地区にも所属していない。
他の四地区と同じように守護聖獣が当てはめられる場合、それは『黒龍』とされる。