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残酷のアクセルリス  作者: 星咲水輝
23話 英雄になりそこなった者
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#4 デマゴーグの死


【#4】


 その、時だった。



「──ッ」


 ソルトマーチの体が揺れる。

 何故か? その理由はアクセルリスには明白だった。


「──は?」


 彼女の眼前に現れたのは、手。

 そう。紛れなく手なのだ。

 

「ひっ……!」


 背に隠れるアディスハハが震えるのを感じる。


〈おい、あれ〉


 トガネが指し示したもの。二人も『それ』をありありと見せつけられる。


「な……え」


 ソルトマーチは、己の体から力が、熱が、生気が抜けていくのを感じていた。


「──」


 やがてその首は正面を向くのに耐えきれず、垂れる。

 そして、その目に映るもの。

 己の胸を貫く手。そして、その手が掴む『それ』は。



「……心臓」


 アクセルリスがそう零す。



「正解です」


 ソルトマーチの背後から、落ち着いた口調でそう言う声が聞こえた。


「貴女の心臓。最期に見るものとしては、相応しいのではないでしょうか?」

「お前、メ──」


 ソルトマーチは、最期の言葉を言い切ることはできなかった。

 手が引き抜かれる。同時に、ソルトマーチの体は物言わぬヒトガタとなり、崩れ落ちた。


「──」


 アクセルリスは、アディスハハは、トガネは、一様にして声を失った。


 そんな彼女らの様子とは対極に。


「さようなら、ソルトマーチ。貴女は存外、つまらない魔女でした」


 優し気な口調で、しかし心底残念そうに、そう言ったのは──新たな魔女だった。

 倒れたソルトマーチの後ろに立っていた、その魔女は。



「始めまして、アクセルリスさま。私は《慈愛の魔女 メラキー》と申します」



 純白の修道服に身を纏った、慈悲深き外道魔女。メラキー・ソロウである。



【英雄になりそこなった者 おわり】

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