表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残酷のアクセルリス  作者: 星咲水輝
22話 英雄を目指した者──否
105/277

#4 交錯する外道の思惑

【#4】


「ソルトマーチ」

「如何した」


 某所。ソファで身を休めるソルトマーチに、側近は声をかける。


「なぜアクセルリスに接触したの? 邪悪魔女への必要以上の干渉は避けろと何度も言ってるはず」

「その事については謝罪しよう。そして安心しろ、私は鋼の魔女アクセルリスを殺す気は無い」

「では何が目的なの?」

「単純な興味だ。戦火の魔女への復讐を果たそうとする、生存本能の化身。それがどんな者なのか、な」


 動じる様子を見せることなくソルトマーチは言い切った。側近は無言のまま首を振る。


「まったく、何を考えてるか分からんね」


 向かいのソファからそうヤジを飛ばしたのはバースデイだ。


「貴女も大概よ、バースデイ」

「ン、そうか? お互い様か、ハハ」

「ふ。我々は共に外道魔女に身をやつす同志。それぞれに価値観はあるだろう」

「……はぁ、とんだじゃじゃ馬たちだわ……」


 側近は頭を抱えながら離席した。尖り者だらけの魔女枢軸を纏めるのも楽ではない。


「ときにバースデイよ」

「どうした?」

「少し頼みたいことがある」

「ま、聞くだけ聞いてやろう」

「汝の力を借りたい」

「高くつくぞ?」

「構わん。して、内容は──」


 ソルトマーチの頼みを聞き届けたバースデイは目を閉じる。


「──まあ、その程度なら初回特典で無料にしてやろう」

「助かる。では、時が来たらよろしく頼む」


 ソルトマーチも離席。バースデイは静寂の中目を閉じ続ける。



 ──が。


「ごきげんよう、バースデイさん」

「──メラキーか」


 目を開くことなく、声色と口調で新たな来客を悟る。


「なんだ? お前も頼みごとか」

「頼みごと……とは少し違うのですが──」


 メラキーの言を聞き届けたバースデイは、思わず目を見開く。


「構いませんか?」

「あ、ああ……私としては構わないが」

「助かりました。では、よろしくお願いします」


 優し気な笑みを浮かべてメラキーは席を立った。 


 一人静寂の中、バースデイは呟く。


「……恐ろしい女だ」



【英雄を目指した者──否 おわり】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ