#? 動き出す外道たち
【#?】
某所。
薄暗く、内装も十分なほど整えられた『拠点』。広さは最早過剰なほど。
玉座に一人。その側に一人。そして円卓に用意された席が9つ。うち3つは空席。
この場にいる7人。全員、外道魔女である。
「……クラウンハンズが死んだ」
言葉を発したのは側近魔女。
その報告を聞こうと、誰一人表情を変えることは無い。
「因果応報だろう。享楽に溺れた魔女の末路だ」
バースデイはそうとだけ言うと、興味なさげに目を閉じた。
「……それにしても、流石に無慈悲すぎるのではありませんか? 僅かですが生活を共にした者でしょう? それを直々に殺すなど」
メラキーがそう言った。それに対して側近は言う。
「それが我々の方針だから。命令に反した行い、勝手な行動を取ったものには加護は与えない。逆にこちらの手で始末することもある。よく覚えておいて」
「おっかないね、まったく」
おどけた様に口を挟んだのはゲブラッヘだった。
「貴女に言っているのよ、ゲブラッヘ」
「おっと、そうだったか。ありがたい忠告、聞き流しておくよ」
「……まったく」
どこまでも不敵な態度に側近は目を細めた。
「まあ、クラウンハンズのことは過ぎたこと。我々は成すべきことをするだけ」
手帳を開き、次の一手を選ぶ。
「──ソルトマーチ。貴女にお願いしたい」
名を呼ばれ、その魔女は立ち上がる。
そして静かに、言った。
「承った」
【美を探求した者 おわり】