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バルタファング本社へ

『最近は精霊師達と仲が悪いのか?』

『お互い、干渉したくないだけ。』

『そっか。会社まで、もう少しだな。』

『ええ。もう見えてるわ。』

 田舎に似つかわしくない近代的で高いビルが目に入る。

『あれか。』

 正門で一旦停め、降りてセキュリティに声を掛ける。

 ダナがセキュリティの男に車の中から手を振っている。

 とりあえず、窓を開けてセキュリティに話しかける。

『わざわざ遠い所からお越しいただき、ありがとうございます。駐車スペースは社屋右側です。中は警備の者が案内します。』

『ご苦労様です。ありがとう。』

 車に戻り、駐車スペースに車を停めて、正面玄関に向かうと、スーツ姿の警備員が待ち構えていた。

『お待ちしておりました、スズキ様。社長室までご案内いたします。』

『ありがとう。お願いします。』

 最上階の社長室に案内されると、街と草原を背後にしたマホガニーから立ち上がってきた。

『遠い所、ようこそおいでくださいました。』

『いえ、お待たせいたし、申し訳ありません。』

『元々はクラモの近くにあったダイン・セキュリティという会社で一族の者が働いていたのですが、先代の時に我々一族の者だけで独立し、このツェールに本部を移したのです。』

『確かダイン・セキュリティって、油田とかの警備をしてたよな。もしかして、ミッシェの、えっと、プレッテンベルク家の会社ですか?』

『やはりご存知でしたか。』

『ミッシェにはかなり世話になってましたから。元々、人を集めるのが上手い彼に警備会社の設立を勧めたんです。』

 ミッシェ・プレッテンベルクとは、ヨハンとも仲の良かった貴族で、彼の家はヴィリニュスから入植した貴族がこの一体を支配していたが、その中で地元豪族と血縁関係を結び土着化した一族であった。

 気は良いがどうみても堅気の人間には見えないような男であったが。

 元々、地元の人間との繋がりもあり、人を集めることが得意であったため、度々力を貸してもらっていた。

 その流れで民間警備や人材派遣の仕事を勧め、それなりに成功していたのだ。

 そのまま現代まで続いていたということだ。

『やはり、この国の過去と深い関わりがあったようですな。』

『皆、過去の人間とだけですよ。今の所は、この会社としか繋がりはありません。今日は挨拶だけと思ってんですが、まだ時間があるので建設中の訓練場を見ていきたいんですが、良いですか?』

『ええ、構いませんよ。』


 爆発物等も取り扱いたいのと、情報漏洩を防ぐ意味合いもあり、地下を掘り訓練室を作ることを提案し、受け入れられたのだ。

 地上から構築物や障害物を運びやすいようにクレーンを設置している。

 俺達が使わない間は、ここで市街地戦の訓練もできるように整えていく計画だ。

 今は300m四方に四角く掘られた10mの深さの穴があるだけだ。

「すごいですね。」

「水平方向なら、威力を考えずに使えるな。」

「戦車砲でも撃つつもりですか?」

「ああ、小野くんが使う『司令室』の強度テストもできるからな。」

「本気ですか…」

「白餓鬼も試せるな。」

「確かに。」

「しかし、幾らほど掛かったんでしょうか?」

「穴だけだから、心配する程でも無いだろう。」

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