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図書館とケイジャン料理

あけましておめでとうございます。

話の中では若干ズレがありますが。

今年も宜しくお願い申し上げます。


 東京市立中央図書館の蔵書に圧倒的される。

 東欧の歴史の文献だけでも、相当な量があるが、洋書は含まれていない。

 その本棚に対して、片っ端からタイトルに触れていく。

『もう少し、一冊に触れる時間を増やしてくれ。』

『分かった。目的の文献はありそうか?』

『その都度、ピックアップするか?』

『いや、最後にまとめてからにしよう。』

 続けて、魔法技術に関する書架に向かい、先程と同じようにタイトルに触れて回る。

 こちらの方が性質上、厚い専門書が多い。

『魔法の実践書は不要なのではないか?』

『いや、俺が使えないからこそ、応用を考えていく上では必要だ。』

 文献のスキャニングを終え、書架の前に立ったまま、ピックアップしてこの場で読む本の相談をする。

『回復魔法や時空魔法に関する技術的な文献はあったか?』

『無いな。回復魔法については外科手術を魔法で再現しようとしたものぐらいはあったな。時空魔法については考察的なものが若干あったぐらいだ。』

『そうか。縫合程度の応急処置なら何とかできるかも知れないか。時空魔法の考察は?』

『左手の書架の三段目中央の本だな。各国の魔法に関するレポートが主だが、その中に時空魔法の考察の章があった。』

『ありがとう。』

 ハルが指示した本を手に取り、ヨーロッパの歴史の書架に戻る。

『歴史上で魔人の事が記載のあるものは?』

『ヴィリニュスに関する歴史に恐らくユーグと思われる者とその仲間の記述があった。それから…』

『とりあえず、その本だけでいい。今日は借りずに読むから。』

 借りても忙しくて読む時間を取れなさそうなので、ギンタとの約束の時間までここで読むことに決めた。


 ヴィリニュスの歴史が書かれた本の中にユーグとユーグに接触したと思われる魔人の記述があった。

 その魔人は世界中を流離い、ユーグと接触し、数年の時間を共にした後、姿を消した。

 その頃からユーグは地下に潜ったようなのである。

 何をユーグに吹き込んだのか。

 神を奉ずる魔人に。

『この魔人に関する他の文献はあるか?』

『同じ魔人と思しき者が古代中国で見かけられたという噂が書かれてあった程度だな。』

『中国のコーナーはまた今度来たときにするか。』

 魔人の件は一旦切り上げて、時空魔法の考察が書かれた本に手を伸ばす。

 必要な部分を読み終わる頃には、もう昼近くになっており、慌てて本を元の位置に戻し、図書館を後にする。


 家に帰り、ギンタを連れて車に乗る。

『何で食べに行くの?』

『料理のレパートリーを増やすために、ケイジャン料理を食べに行きたいんだ。俺が好きな小説の主人公の好物なんだ。』

『ケイジャン料理って?』

『アメリカのルイジアナ州で食べられている移民の料理だな。セロリ、たまねぎ、ピーマンと色々なスパイスを使っているのが特徴かな。』

『ふーん。』

『ま、食べたら分かるよ。』

 湾岸部にある大型ショッピングモールに向けて車を走らせる。

 目的のレストラン、ニューオーリンズはショッピングモールの端の方にあった。

 若干暗めの店内はカウンター以外の全テーブルがボックス席になっており、まだ空きのあったテーブルに座る。

 内装もウェイトレスの制服もアメリカンヴィンテージに統一されている。

 まずは食べたかったケイジャンシュリンプ、シュリンプクレオール、ガンボとジャンバラヤを頼む。

 ギンタは別にガーリックバターのシーフードパスタを頼んだ。

 まあ、ギンタがあまり食べなくても十分食べきれる量だろう。

『家で作れるの?』

『一度食べたら大体はな。』

『このエビはまた食べたい。』

『おう。食べたくなったらいつでも言ってくれ。』

 心配する程のことはなく、テーブルに並んだ皿を二人でつまんでいるうちに綺麗に片付いた。

本日のご飯

○昼食(外食)

・ケイジャンシュリンプ

・シュリンプクレオール

・ガンボ

・ジャンバラヤ

・ガーリックバターのシーフードパスタ

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