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ギンタの日常

 あれから二月、何も起こらず平和な日々が続いていた。

 ギンタが来てから、仕事もプライベートも休む間もなくトラブルが続いていたので、束の間の平和、日常がこんなに楽しいものだったのかと思う。

 因みに、運動会では人間とかけ離れた身体能力であるため、かけっこ等の競技には参加せず、ダンスだけだったが、楽しそうにしていた。

 素性を明かしており、変に隠すことはないので、苦労はしなかっただろうが、少し物足りなかったようだ。


 仕事の方も、夏休み期間で大学生、高校生へのリサーチをしながらwebベースでのベータ版を宣伝していく。

 今のところは、投稿の全体公開とグループ内公開機能しか持たせていないが、アプリの開発と共に特定個人への直接連絡機能を持たせる予定である。

 また、成人については、レジャースポットを中心に勧誘を行い、まだベータ版でテストユーザにしか公開していない写真のアップ機能を全面に押し出してゆく。

 一応、画像のアップ機能はテストユーザーのみであるが、閲覧はブラウザ側からは通常通り可能である。

 販促のための通信費肩代わりと提携店舗の割引はかなり痛かったが、着実に話題にのぼり、ユーザ数が増えてきている。

 携帯ユーザではブラウザとアプリのアクセスが半々ぐらいであるが、現行の携帯ブラウザでは写真のアップロードが出来ないため、来月予定している写真アップ機能のアップデートにより、アプリ版の利用に傾くと踏んでいる。

 とうとう、来年からスマートフォンの開発機がアメリカで発売される事が決定し、携帯と並行してアプリの開発を始める。

 ただ、スマートフォンの普及はまだ数年かかると思われ、暫くは開発に多くのリソースは割かないが、黎明期から参入することで、キラーアプリの地位を獲得する事を狙っていく準備はしておく。

 最終的に「コネクト」は会社ごと売却し、魔法術式を使った現在準備中の警備機器会社に注ぎ込もうと考えているのだ。

 また、そのために小野くんの通常業務の負担は極力抑え、魔法術式の開発も続けてもらっている。

 ギンタの封印の解析をお願いしたところ、かなり進んでいるようで俺よりかなり優秀だった。

 ソフトウェアの開発については、俺と小森くんだけで賄えそうなのでが、二人共ハードウェアが弱いというか、全く出来ない。

 ハードウェアについて、信頼できる外注先を探すか技術者を雇うか考えなければならない。


 陰陽師達は結局、俺達を静観することになったと弓削道信から連絡があったっきり、特に動きはない。

 俺達への賠償金が思ったほどではなかったものの、欲張らなかったことで、弓削がコントロールできているとの評価につながり、敵対の心配はまずないらしい。

 ギンタはタケヒコから瘴気のコントロールを教わっていたが、それも概ね終わったが、罪滅ぼしも兼ねて更に高度なコントロールを教えてくれる人物と交渉をしてくれている。

 まだ、タケヒコにはそれなりの頻度で会いにいっているようだが、学校の友達と遊ぶ日もあり、少なくはなっているようだ。

 冷静に考えると300歳を超えるギンタが10歳の少女たちと何をしているのだろうか。

 男の子なら何をしているか想像できるが、女の子は皆目見当がつかない。

 だが、ギンタも楽しそうだし、そんなギンタを見ていると、こちらまで嬉しくなる。

 の平穏な日常は何にも替えがたいものだとつくずく思った。

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