茶碗蒸し
今日からの短縮授業なので、お弁当を作る。
肉じゃがはレンジで下ごしらえしたじゃがいもを足して丸いコロッケにする。
コロッケに時間を取られたため、唐揚げは市販の唐揚げ粉にする。
甘めの卵焼きに、昨日の千切り大根の煮物を詰めて、出来上がりだ。
緑が欲しいので、ブロッコリーを電子レンジで温めたものに、マヨネーズをかけておく。
皿なら綺麗に盛れるのに、どうしてもお弁当は地味だ。
朝ご飯はトースト、厚めのベーコンとスクランブルエッグで済ませる。
今度からは常備できるマリネサラダ類でも考えておこう。
『お弁当を冷蔵庫に入れておくから、学校から帰ったら食べておいて。タケヒコのところに行くんだったら、いつも通りタッパーウェアに揚げがあるから、忘れずに。』
『分かった。』
『あと、連絡帳を書いてくれた子には、ちゃんとお礼を言っといて。』
『うん。』
今日はプールがあると連絡帳に書いてあったので、水着を入れたビニールのバックを持たせている。
連絡帳は担任の先生が書いてくれると思っていたが、字を見ると同じクラスの女の子が書いてくれていたのだ。
その横に、トリヴォニア語でメモもちゃんと書いてある。
我が子ながらしっかりしていて、感心する。
「いってらっしゃい。」
「いってきます。」
今日は、スカートに黒のリボンが背中に付いたプルオーバーだ。
四年生ながら、真新しいランドセルを背負ってギンタが学校に向かうのを見送る。
出社し、回ってきていた決裁を済ませたあと、本腰を入れてニュースキュレーションアプリの開発の業務に取り掛かる。
RSSは使わないと言ってはみたが、カテゴリ分けされたデータの配信には分がある。
RSSだと結局、バージョンアップで見直しが必要になるのも見えているし、敢えて規格を使う必要も無いと思ってはいる。
独自に記事内容も含めたXMLで、規格を作るか。
そうした場合、メモリーが足りるか。
さっさと決めて仕様書を作らないと、今後の進捗に差し支えるな。
でも、もうそれなりの会社規模になってきているなら、俺が手を出さない方が良いのかも知れないな。
方向性だけを示していくようにしようか。
時間を決めて、次は女性向けキュレーションサイトの子会社設立にかかる要件をまとめはじめる。
ウチとの関係は俺の方でまとめるが、設立する会社の中は踏み込まず、萩原さんに丸投げしよう。
取り敢えず、プロジェクトチームは作るか。
産業新聞社からの出資は66%の提示があった。
ウチの資産規模からすると、産業新聞社の考えている規模だと、30%はかなり厳しい。
向こうに乗せられるのも癪だな。
段階的に拡大していく方向も考えたいが、後々面倒くさくなりそうだ。
ギリギリまで、策を練るか。
やっぱり、経営よりも、現場がいいな。
そんなことをつらつらと考えたり企画書に落としたりしている間に気が付くと終業時間を迎えたため、帰り支度をする。
『今日もまだタケヒコの所だ。』
『何か、ギンタの面倒まで見てもらって、悪いな。』
浅葱稲荷に向かい、しっかり手を合わせて感謝の気持ちを伝えてくださいから、ギンタと共にスーパーに向かう。
まず、白菜、にんじんの細切り、鷹の爪、切り昆布と麹をビニール袋に入れて揉み、浅漬けを作る。
サゴシの切り身を醤油と砂糖で、酒、みりんと柚子を入れた幽庵地に漬ける。
夕飯の時間があるので、長い時間漬けられないため、柚子の風味が足りなくなるので、皮をおろして追加する。
冬瓜を下茹でして、二つに分けて、一つは出汁だけで、もう一つは鳥挽肉を入れた出汁で炊く。
鳥挽肉は炒めず、出汁に入れた方があっさりして、出汁がよく出る気がする。
普段から、その日の気分で、炒めてからか、炒めないでか決めており、今日は炒めない気分だ。
鳥挽肉の方は水溶き片栗を入れて餡かけにする。
出汁だけの方は、粗熱がとれてから冷蔵庫に入れておく。
冷やしてから食べるのも美味しいのだ。
食べるのは明日だが。
冬瓜のためにかつお節からちゃんと出汁をとりたかったので、多めにとっており、残りは茶碗蒸しにも使う。
時期ではないので銀杏が無かったのは残念だ。
かぼちゃの味噌汁は白味噌にする。
幽庵地に漬けたサゴシが焼ければ完成だ。
あと、忘れないよう、タケヒコの揚げは炊いておく。
毎日、ちゃんと炊いて、感謝の気持ちは伝えよう。
今日は素晴らしく和食だ。
今日も二人でテーブルにつく。
『ケンジ、これ、プリン?』
茶碗蒸しの蓋を取ったギンタは、そう聞いてくる。
『お菓子みたいだけと、おかずなんだ。』
茶碗蒸しは初めての食感でかなり気に入ってくれたようだ。
今日のご飯
○朝食
・トースト
・べークドベーコン
・スクランブルエッグ
○昼食(弁当)
・肉じゃがコロッケ
・切干大根の煮物
・鶏の唐揚げ
・卵焼き
・ブロッコリーマヨネーズ
○夕食
・白米
・白菜の浅漬け
・冬瓜の鳥挽肉餡かけ
・サゴシの幽庵地焼き
・茶碗蒸し
・かぼちゃの味噌汁(白味噌)




