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茶粥とアフリカからの誘い

 なんとか昨日、土曜日中に新居のそこかしこに積まれていた段ボール箱を片付けることができたので、今朝はゆっくりと朝食を作り始める。

 冬服など箱のまま押入れに仕舞い込んだものもあるが。

 少し早めに起きたので、朝食に茶粥を炊いている。

 焙じ茶で炊くため、茶色い粥になる。

 残っていた牛肉と針生姜で時雨煮を作る。

 近所の人から分けてもらった唐辛子の株から、唐辛子と葉に分けた、葉を佃煮を作り、冷凍庫にストックしてあった芝海老の佃煮も出してくる。

 佃煮は糖分と塩分の濃度が高いので凍らないことは知識としては知ってはいたが、改めてびっくりする。

 後でギンタに見せてやろう。

 ただ、自家製では素揚げにしたぐらいの硬さなので、普通に食べるには問題ないが、少し残念な感がある。

 お店の佃煮に近づけるよう、勉強しておこう。

 ニラをみじん切りにして、桜えびと一緒に醤油を加えて和える。

 少し毛色の違う物も欲しくなり、かぼちゃは醤油を使わず、水、みりん、砂糖で煮る。

 先に電子レンジで下拵えしておけば、早く煮えるし、皮むきも楽だ。

 ただ、ちゃんと生から炊いた方が崩れないし、汁も濁らないから良いのだが。

「ん。いい匂い。」

 匂いに釣られて、ギンタが起きてくる。

 舌はもう日本人化してきたな。

 冷蔵庫から、お茶、梅干しと沢庵を出して朝食の準備を進める。

「今日は茶粥を炊いてみた。」

「茶粥?」

「ああ。お茶を入れて炊くんだ。関西の方の料理だな。」

「これ、辛い。」

「昨日もらってきた、唐辛子の葉っぱを佃煮にしたんだ。少し辛いけど、良い香りがするだろ。」

「うん。」

 あっさりとした朝食はサラッと片付き、食器を洗っていると、チャイムが鳴る。

 玄関に出たギンタが俺を呼ぶと、郵便配達員が配達証明付きの速達を持って待っていた。

 豪奢な封筒に、封蝋がしてある。

 宛先を見ると『ガンビ大使館 大使アコタ・ジャウラ』と英語と日本語で記されている。

「どこからの手紙?」

「アフリカのガンビという国の大使館からだ。」

 アフリカ、ガンビの呪術集団が俺に表敬訪問をしたいと書いてある。

 全く身に覚えがない。

 何故、表敬訪問なのか、理解に苦しむ。

 とりあえず、公安の梅田氏に連絡を入れてみる。

「アフリカのガンビ?それも『ファコエ』か。」

「ノーマークか。」

「くっくっくっ。世界中から狙われてるな。」

「笑い事じゃないぞ。まあ、今回は表敬訪問らしいから、敵意も無いだろうし。」

「行ってみるのか?」

「ああ。」

「その『ファコエ』とかいう集団なんだが、たしか、反政府組織との繋がりもあったんじゃないか。かなりきな臭いぞ。」

「情報ありがとう。無事に帰ったら連絡するよ。」


 コネクトで小野くんに連絡するついでに、少し調べてみた。

 こちらの世界のアフリカ大陸は東西に長い形をしている。

 元の世界の南アフリカに相当する部分は沈没したと考えられている。

 現地の言い伝えによると、神と抗う者との戦いが六日六晩続き、七日目に戦いが一旦停戦された時に、大陸の南半分が無くなったということだ。

 アフリカ大陸では、この逸話から安息日、週という考え方が生まれたといわれている。

 ただ、この話自体はあまりアフリカ大陸以外では知られていない。

 女神教会においても使用され、起源は世界誕生の物語であるが、この七日というのには、何らかの意味が隠されているのだろうか?

 また、アフリカでは魔術が盛んで、大きな組織が幾つかあるらしい。

 それらは、反政府組織と繋がっていたり、そのものだったり、武装集団的な性質を多分に持ち合わせている。

 また、呪術的なものも多いが、実戦戦闘でも魔法を多用するということだ。

 小野くんとダナに表敬訪問の件を公安に連絡済みであることをコネクトのグループメッセージで知らせていたが、心配する返信が返ってきていた。

本日のご飯

○朝食

・茶粥(焙じ茶)

・牛肉の時雨煮

・唐辛子の葉の佃煮

・芝海老の佃煮

・かぼちゃの甘煮

・ニラと桜えびの醤油漬け

・梅干し

・沢庵

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