ギンタの力
「随分と良くなってきたな。身体強化が使えるのなら、蹴りよりも突きのほうが威力がだせるだろうから、一通り覚えたら、突きの練習をしようか。でも、さっき身体を無理をさせたから、今日はもう動けないからまた今度な。」
「うん。」
「それより、あの烏なんだけど、もしかして、最近覚えた魔法なのか？」
「何となく覚えてた魔法を無色のマナを使って再現してみた。本当は闇のマナでする。」
「何で無色のマナを使ったんだ？」
「闇のマナだと影の塊みたいになる。無色のマナだと、生き物に近くなる。距離があるなら影の方が早いけど、無色のマナと隠者の魔法を合わせれば、見つかりにくくなる。」
「元々、感知されにくい無色のマナに隠者の魔法を合わせるからか。」
「正解。同じ魔法でも、使うマナを変えれば、色んなことができる。」
「ん？今更なんだけど、魔法って同時に幾つも使えるものなのか？」
「最初は難しいけど、慣れればできる。難しい魔法だと大変。」
「使い魔に隠者の魔法って、どっちも複雑な魔法なんじゃないか？それも隠者の魔法は2つ同時に使ってたよな。」
「そう。凄く大変。」
「しかも、無色のマナだと、魔力を使って他のマナを変換しないと駄目だから魔力をかなり消費するんじゃないか？」
「ケンジが作った魔法具を使ってるうちに、瘴気を変換するのも覚えた。だから、無色のマナを使うのも楽。」
「覚えられるようなものなのか？」
「ん。何となく。」
「もしかして、お前ってめちゃくちゃ凄い魔法師なんじゃないか？」
「そうかな？ケンジみたいに魔法術式だと、色々と面倒。魔法なら魔力でマナを自由に動かせば良いだけ。」
ギンタにとって魔法ってそんなものなのか？
身の回りに魔法師がいないので、何と比較したら良いのか分からないが、物凄いことを言っている気がする。
「ちょっと待て。魔法具を使わないで瘴気を無色のマナに変換して使ったのか？今初めて聞いた気がするぞ。小野くんには？」
「まだ言ってない。」
「小野くんにも秘密にしとこうか。何かの切り札に使えそうな気がするな。普段は魔法具を使うようにしてくれ。」
「そんなに神経質になる必要ある？」
「念の為だ。今日は聞いちゃったけど、俺も知らないような切り札を隠しといた方が良いかもな。」
「何で？」
「俺が知っていると、俺の挙動でバレたりするかも知れないだろ。」
「ケンジは面倒。」
戦闘可能なレベルの魔法師が身の回りにギンタしかいなかったので、よく分からなかったが、認識を改める必要があるな。
