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集団自決

 マリーナの事務所にはまだ灯りがあり、人の出入りもまだある。

 お陰で、俺の発見は遅れそうだ。

 どの船かは分からないが、日本人が出入りしてる船を除いていけば良いだろうか。

 こんな時、ダナが居れば、匂いで特定できたのだろうが、無いものは仕方が無い。

 俺を狙うのであれば、逆に襲撃してくる可能性の方が高いよつな気がする。

 船のある場所まで近づくと、大所帯を運搬できる大きさの船は限られており、中型以上のクルーザーは二隻しかなく、うち一隻は電気が消えていた。

 見張りの男と同時に目が会い、拳銃で発砲されるが、距離もあり、当たらない。

『魔法無効化は?』

『今は無い。』

『ハル、狙撃してから、トリガートラップを展開。』

『承知。』

 男は奥に向かって何か叫び、返答を受けて発砲を止めたとたん、ハルに肩と膝を撃ち抜かれ、その場に崩れ落ちる。

 やはり、俺は捕獲対象か。

 戦闘態勢を整えられる時間を作りたくない。

 隣のクルーザーに飛び乗り、海側から船を伝って接近する。

 新調したグローブは改良が加えられ、魔法術式とマナ結晶供給部分を分離し、マナ結晶の数だけ自由に魔法を選択して発動することが可能になった。

 装填されているマナ結晶は20だ。

 船体はFRPが多いだろうから、縫い留めるには丁度いい。

 一つ前の船まで移ってきた男は二人。

 オープンになっているデッキに乗り込んでくる。

 少し距離があるが、太腿に向かって『ハープーン』の銛を撃ち込み、デッキに縫い留める。

 もう一人の順手で前に出して構えるナイフを左手で払い、右の肩に銛を刺す。

 倒れた男の太腿に銛を撃ち込み、縫い留める。

 あと、六人。

 目標のクルーザーはデッキが狭く、室内を広くとっている。

 トリガートラップが効いている間は、無力化に労力を割かなくともいいだろう。

 あと、自決を選ぶ人間にまで慈悲をかけられるほど、時間も力も足りていない。

『ハル、魔法無効化の兆候があれば、教えてくれ。』

『分かった。ただ、我自身、何らかの魔力かマナで動いている筈だから、我が動かなくなる可能性がある。』

『さっきは呼んでも反応無かったもんな。了解。』

 実は呼び掛けもしていなかったが、魔法暗室と変わらないと思い、魔法が無効化された時点で呼ぶのを諦めていたのだ。

 今度は襲撃を受けた時みたいに、腕が無くなったことを見過ごさないようにしなければ。

 最大限に警戒しながら、目標のデッキに飛び込む。

 振り出されるナイフを左手で押さえ、近い所から飛び出てきた男の右肩を銛で射貫くと、反対側の内壁に縫い留められる。

 デッキから中を覗くと、円筒形の機器に纏わりつく男女、弾薬を抱え、何かのスイッチを握る男が見えた。

 集団自決に付き合う気は無いぞ。

 慌てて海に飛び込む。

 不格好に足から飛び込んだため、深く潜れず、隣の船の船底に取り付き、身体を沈める。

 音が振動になってくるとともに、少しの明るさを感じる。

 そのまま取り付いた船の反対側に顔を出し、船尾に回り込む。

 ほとんどのクルーザーは船尾からデッキに上がれるようになっている。

 その船のデッキに上がると、目標だった船は、その後半分を覆っていた天蓋を失っていた。

 防波堤には沢山の残骸が散らばっていた。

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