フレンチカレーと所属不明部隊襲撃
今晩はフレンチっぽくカレーを作ってみる。
玉ねぎ、にんじん、りんご、マンゴーチャツネをフードプロセッサーで念入りに細かくする。
すじ肉は下茹でしてから、ザルにとってから洗い、細かく刻んで、肉から炒め、焼き色が付いたら、フードプロセッサーにかけた野菜を合わせて炒める。
赤ワインを足して、圧力鍋で一時間半ほど煮込むと、すじ肉もすじはほとんど融け、肉の繊維が解けるぐらいになっている。
肉を煮ている間に、スープを作る。
少しでも早くあめ色玉ねぎを作るため、玉ねぎをスライサーにかけたものを軽く塩を振ってから電子レンジで温めてから鍋で炒める。
ビーフコンソメを注ぎ、ブラックペッパーと塩で味を整えておく。
肉が煮えたら、ミキサーにかけ、更に細かくし、ひと煮立ちしてから濾して、カレールーを加えて暫く煮込む。
塊で買った和牛のバラを筋を取ってから、一口大のブロックに切り分ける。
塩コショウしてから、かなり熱したフライパンで、表面を焦がしていく。
脂ごとカレーの鍋に加え、ご飯とともに皿に盛る。
すじ肉を入れずに早く仕上げて、酒蒸ししたシーフードやガーリックチキンと合わせても美味しいし、早く出来上がる。
「今日は朝からずっとごちそう。」
「何かね、虫の知らせかな。暫くゆっくりご飯を作れなくなる気がしてさ。」
「ケンジも?」
「ギンタもか。冷めないうちに食べるか。」
「うん。」
ギンタが皿を洗っているうちに、風呂を洗おうとした時に、ハルから連絡が入る。
『そろそろ来るぞ。』
「ギンタ、感知結界に入って不審な動きがないかチェックしてから、動き出そうか。感知結界の予行演習と思えばいい。」
感知結界といっても、街中では人が多過ぎてあまり使い物にならないため、使う範囲はかなり狭くしている。
結界内に侵入した人間の移動は感知できるため、その動きを注視し、不審な動きをしていないか、ギンタが判断する。
「スリーマンセルが接近。」
「監視を続けて。」
ギンタは目を閉じ、耳を澄ませるようにして、結界内に侵入した者の動向を監視する。
小野くんなら、カメラかセンサーを飛ばして確認するのだろうが、俺では使いこなせない。
「散開、一人沈黙!?」
「沈黙って何だよ。ギンタ、警戒して。俺は小野くんとダナに連絡する。」
携帯電話を取り出して、小野くんに連絡する。
「もしもし、小野くん。また何者かの襲撃の可能性がある。ダナはそこに居るか?」
『ダナとは一緒じゃないです。』
「警戒しててくれ。司令室を展開するのも良い。俺からダナに連絡する。」
ダナには、バルタファングが来るのを知っていた事がバレるが、仕方無い。
携帯電話でダナを呼び出す。
「ダナか。」
『あ、ケンジさん。こんばんは。』
若干焦っている感がある。
ダナはバルタファングが来ることを知っているが、作戦には参加していないようだ。
電話を耳と肩で挟み、魔法術式射出用のグローブを右手からはめていく。
幾つか名前を考えているが、まだ決まっていない。
「バルタファングと何者かが交戦している。」
色々と混乱しているようなので、このまま畳み掛けて誤魔化すことにしよう。
「公安局にバルタファングが入国した情報が入った。今、近くで戦闘を行っている集団がいる。バルタファングと何者かが交戦しているとしか考えられない。」
『一体、誰が?』
「ちょっと待って。ギンタ、窓から離れろ。ハル、トリガートラップを発動してくれ。」
この辺りの指示は先にしておくべきだったが、間に合ったから、良しとしておこう。
「小野くんと合流して、敵をやり過ごすま…」
ベランダで夜景が遮られるのが見えた。
上層階から降りてきた。
盲点だ。
ギンタの感知結界も、同じマンションの住人までは対象としていなかった。
何かを投げ込まれる、ガラスが割れる。
順当にいけば、音響閃光弾だろうか。
ギンタにも対処の仕方を教えた筈だが、手を翳している。
俺は背を向け、距離を取りながら耳を塞いだ。
本日のご飯
○夕食
・フレンチ風ビーフカレー




