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新兵器と沖縄料理

 ゴールデンウィーク前になるのに、今年は意外と涼しい。

 暑いゴールデンウィークにこちらの世界に来たことを思い出す。

「おはよう。」

「おはようございます。」

 小野くんは相変わらず、早めに出勤してパソコンに向かっていた。

「今日は家庭訪問でギンタも昼までだから、ちょっと手伝って貰うよ。」

「鈴木さんところはいつ来るんですか?」

「明日だ。」

 無色のマナの結晶を生産するのに、瘴気を原料としているため、まだ、ギンタの手を借りないといけないのである。

 直接、無色のマナを供給して作る道具はまだ試作段階で、作っても法力僧しか使えない。

 小野くんも多少は無色のマナを扱えるようになったとはいえ、まだ実戦に使えるレベルではない。

 というか、元々の魔力量も多いわけではない。

 鍛えれば増えるらしいのだが。

 俺に至っては言わずもがなだ。

「ギンタちゃんにずっと手伝ってもらうのも気が引けるし。周囲のマナを取り込む結晶化装置の開発を進めましょうか?」

「それより、白餓鬼や蠱魅の偵察ドローン化が先かな?」


 昼に家に帰り、お昼ごはんの支度にかかる。

 切り干し大根と細切り昆布を戻している間に、にんじんの皮を剥き、しりしり器(合ってるのかな?)でしりしりしておく。

 しりしりしたにんじんは、バターを少し足して出汁と炒める。

 バターを足すのは甘みが出るからなのだが、バターだけだと負けてしまう。

 にんじんに火が通ったら、溶き卵を流し入れて、固まるまで炒める。

 豚肉の細切れを細く切り、戻した切り干し大根、細切り昆布を出汁、醤油で炒める。

 クーブイリチーなのだが、本場では切り干し大根も昆布も太い物を使っていたが、手に入らないので、仕方がない。

 因みに本場に行くと、戻して売っている。

 そう言えば、売れ残ったらすぐ痛みそうなのにとか勝手に心配してみたりしたな。

 味噌汁は豆腐、冬瓜、わかめを実にする。

 最後にランチョンミートを厚めにきって、表面がカリカリになるまで焼いてから、出た脂で目玉焼きを作ってランチョンミート、向こうで言うところの『ポーク』の上に乗せる。

 出来上がる直前にギンタが帰宅する。

「ちょうど、出来るところだよ。今日は沖縄料理だ。」

「珍しい。一度行ってみたい。」

「そうだな。夏になったら行ってみようか?」

「うん。」


 昼食を終え、ギンタと一緒に事務所に向かうとダナが出迎えてくれる。

「ギンタちゃんが来ると、うっかり喋ってしまいまして…」

 小野くんが申し訳なさそうにしている。

「別に構わないよ。」

「ギンタ。まずは、マナの結晶を補充して欲しいんだ。」

「うん。」

「いつもすまんな。」

「この魔法具なら、瘴気を操るだけだから、楽だし疲れない。」

「そうか。」

 ギンタがマナの結晶作成機の横に座り、ダナはギンタの横で新製品の菓子のお披露目をしている。

 小野くんが無色のマナを結晶化するには、指輪に嵌めるぐらいの粒を作るのに時間もかかるし、一日三粒が限界のようであるが、ギンタだと大当たりのパチンコ台になっている。

 久し振りにダナが顔を見せたので、今日は予定を変更することにした。

「今から『白鬼』を頼みたいんだけど。」

「うん。」

「またするんですか?もう、怪我しないでくださいよ。」

 依代とマナの変換器があるので、そんなにギンタの負担にはなっていないとは思う。

 ギンタの作り出す『白餓鬼』は体格も能力も『鬼』というしかないようなものなので『白鬼』と呼ぶことにしたのだ。

 道具の試験場として使用している倉庫にギンタとともに向かう。

 窓を塞がれ、内壁を鉄板で補強された倉庫は薄暗い。

 マナの変換器はかなりの大きさなので、台車で運び込む。

 台車は小野くんに任せ、両手にグローブをはめながら横を歩く。

 倉庫に着くと、台車から取り出した、魔法術式ではなく、普通の鉄でできたカランビットを握り込む。

 フォールディングでは強度が足りないため、一枚の鉄で作られた物にグリップにパラコードが巻いてあるだけのものが結構安かったので、練習用に十本程買っておいたものだ。

 もうかなり減っているが。

「それじゃ、Bランクでお願い。」

「うん。」

本日のご飯

○夕食

・白米

・クーブイリチー

・にんじんしりしり

・ランチョンミート目玉焼き乗せ

・豆腐、冬瓜、わかめの味噌汁

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