001. VRMMOの世界へ
「よ、ようこそ![REALITY≠TRUTH ONLINE]の世界へ!」
と、目の前に浮かんでいる直径20cmmくらいの光の玉から声が聞こえた。
「ええ・・・あー・・・どうも・・・はじめまして」
とりあえず返事をした。周囲には目の前の光の玉以外には何もなく、上下左右前後どこを見渡しても真っ暗な空間が広がっているのみ。
ん?自分の体もない?見えない?どうなっているんだ?
・・・いや、感覚はちゃんとある、ように感じる。自分の体が見えていないので自信をもって断言することができないが。
「あのー・・・」
「え?」
「えっと、[REALITY≠TRUTH ONLINE]についての説明をさせていただきたいのですが・・・」
しまった。どうやら目の前の光の玉のことをしばし忘れていたようだ。少し困らせてしまっただろうか。なんとなく光の玉が悲しそうにしている。表情があるわけではないので本当に何となくだが。
「君がこのゲームの説明をしてくれるのか?そもそも君は何者だ?名前は何という?」
「えっと・・・」
「いや申し訳ない、人に名前を尋ねるときはまず自分から名乗らなければな。自分の名前は坂本圭斗という。」
「えっ、あ、あの、わ、わたしは[REALITY≠TRUTH ONLINE]を始めるプレイヤーの皆様のキャラクターメイキングのご案内をさせていただきますナビ妖精です。」
「ほう、珍しい名前だな、ナビヨウセイ殿。」
「え!?あ、いや、えっと、『ナビ妖精』というのはわたしの名前ではなくてですね・・・わたしたちの種族が総じて『ナビ妖精』とよばれていまして・・・」
「そうなのか・・・。では君の名前は?」
「えっと、わ、わたしたちナビ妖精には名前というものは存在しません。ひとりひとりを識別するための番号は割り振られていますが・・・。あ、ちなみにわたしは『098』です。」
「『098』か・・・。でもそれは君の名前ではないのだろう?」
「ええ、まあ・・・あ!あの!よろしかったらあなたが私に名前を付けていただけないでしょうか!?」
「自分が?」