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010. それはまるで葛餅のように

作者はザ〇リクを唱えた!

作者の折れた心は生き返った!


 視界を覆っていた光が徐々に晴れてゆく・・・。まだ視界ははっきりしないが、かすかに肌で風を感じる。その風に乗って運ばれている草と土の香り。おそらく室内ではないようだ。


 光が弱まり、視界がはっきりしてきた。辺りは暗く、どうやら夜のようだ。時間はまだ昼のはずなのだが・・・?


 周囲を見渡してみた限りでは、ふむ、どうやら自分は草原に立っているようだ。草原の所々は岩場になっている。お、あれは・・・人か?少し離れた場所に人の姿が認識できる。何やら動物らしきものと戦っている。あれがモンスターだろうか。ふむ、遠目で見る限りいい勝負をしているようだ。


 草原の奥には・・・複数の建物らしきものが見えるな。といってもビルのようなものはない。せいぜい高くて二階建て程度だろう。それに明かりもほとんどついてない。村か?村の見える方角と反対の方角には森があるな。それ以外はすべて岩場か。


『スキル【眼力】のレベルが上がりました』


 ・・・・・・・・・まあレベルが上がるのはいいことだろう。なぜレベルが上がったのかは・・・・・・少し落ち着いてから考えよう。現在自分はどこに向かったらいいかすらわからない状態だからな。


 ん?これは・・・・・・足元に半透明の球体がある。遠くばかり見ていて気が付かなかった。何だこれは?やや青みがかっているが、なんとなく葛餅に似ているな。ただ大きさは明らかに違う。体育の授業で使ったハンドボールと同程度。


「・・・・・・?」


 今動いたか?少し震えたような・・・。いや気のせいじゃない、徐々に震えが大きくなっている。む!?弾んだ?いや跳ねたのか?なんとなく震え方、跳ね方に生物のような意志を感じる。生き物なのかこれは?悪意は感じないが・・・・・・ひょっとして何かを伝えようとしているのか?


『・・・・・・・・・か・・・・・・ん・・・』


 !?なんだ?今誰かに呼ばれたような・・・


『・・・・・・・・・さん・・・・・・・・・海斗さん!』


 いや気のせいじゃない。確かに誰かが自分を呼んでいる。でもだれが?周囲には誰もいない。いるのは先程から自分の周囲を跳ねまわっている謎の特大葛餅生物?だけだ。まさかこれが自分を呼んだのか?


『わ、わたしです!わたし!煌星ですよ!』


「煌星?」


『そ、そうです!』


 煌星?これが?自分の知っている煌星はたしか光の玉だった。葛餅ではなかったはずだ。まあ玉であることは共通しているが。でもこの声・・・煌星と同じ声・・・ということはやはりこの特大葛餅は本人が言っている通りあの煌星なのか?

だとしたら・・・・・・


「君が煌星だとして・・・どうしてそんな姿に?」


『うう、私にも・・・私にもよくわからないんですよ・・・。海斗さんを転送した後、気が付いたらこんな姿になっていたんです・・・』


「むう・・・・・・」


『そ、そうだ!ステータスを開いてスキルの【テイム】をタッチしてみてください!』


 よし・・・ステータスを開く・・・【テイム】をタッチする・・・・・・・・・


「おや?【テイム】のレベルがいつの間にか一つ上がっている。一体いつ上がったんだ?先程【眼力】のレベルが上がったアナウンスはあったのだが・・・・・・。そういえばなぜレベルが上がったのだろう?」


『あ、【眼力】のレベル上がったんですね。おめでとうございます。でもとりあえず【眼力】はひとまず置いといて、【テイム】にタッチをおねがいします』


「わかった。【テイム】をタッチ、と」



----------------------------------

【テイム[2]】

 テイムモンスター一覧(1/2)

  ◆煌星/スライム(特殊個体)

----------------------------------



この画面は・・・・・・テイムモンスター一覧?たしか【テイム】のスキルがあるとモンスターが仲間にできるのだから、テイムモンスターとは仲間になったモンスターのことか?そしてテイムモンスターとして煌星の名前があるということは・・・・・・


「これは・・・・・・煌星はテイムモンスターなのか?いつの間に仲間になったんだ?そもそも煌星は『モンスター』なのか?それにスライムとは、特殊個体とは何だ?」


『やっぱり・・・・・・。私の『声』が海斗さんに聞こえているのでもしかしたらと思っていたのですが、私モンスターになって海斗さんにテイムされている。これはあの声の主が私をモンスターに変えた?そんなことができるのは・・・・・・まさか『あの方』が?私の願いをかなえるために・・・・・・。うう、それにしてもよりにもよってなんでスライムなの・・・・・。他にもっと見た目がかわいいモンスターもいたでしょうに・・・・・』


 煌星がプルプル震えている。どことなく悲しげな震え方だ。


「ま、まあ、こうしていても仕方がない。ここで悩んでいても煌星がこうなってしまった原因はわからないだろう。とりあえず移動しよう。」


『・・・・・・そうですね。ではどこに行きますか?』


「どこにいったらいいのだろうな・・・・・・」


『・・・・・・』


「いや、先程からそのことについてずっと悩んでいるんだ。どこへ向かえ、と指示があったわけでもないし、そもそもここがどこかもわからないし・・・・・・」


『う~ん、やっぱりここは人のいそうなところに行くべきではないですか?村とか街とか』


「村のようなものなら遠くに見えるが、人ならばこの草原にも何人かいるぞ」


『え?村や人の姿なんて見えます?暗くてよくわかりませんけど』


「確かに暗いが・・・・・・ぼんやりと見えるぞ」


『私には見えないのですけど・・・・・・。あ!ひょっとしたら・・・・・・。海斗さん、今度は【眼力】スキルをタッチしてみてください』


「わかった」



----------------------------------

【眼力[2]】

 能力一覧

  ◆夜目

    暗がりでも周囲の物体を視認できる。

----------------------------------



『やっぱり、暗闇でも周囲の様子が分かったのは【眼力】スキルのおかげのようです。暗闇の中で目を凝らすことで夜目の効果が発動し、それによりスキルのレベルが上がったのですね』


「そういうことか。謎は解けたな。ではとりあえず周囲にいる人に会いに行ってみるか」




----------------------------------


[NAME] 海斗 Lv.1


[TRIBE] 異界人


[JOB] 暗黒騎士


[PARAMETER]

[HP] 20/20 [MP] 15/15

[ATK] 35 [DEF] 22

[MAG] 20 [SPT] 20

[AGL] 22 [SEN] 20

[TEC] 20


[SKILL]

【武技/短剣[1]】 【武技/大剣[1]】

【魔法/水[1]】 【魔法/闇[1]】

【魔法/無[2]】 【威圧[1]】

【テイム[2](+1)】 【眼力[2](+1)】


[EQUIPMENT]

 [WEAPON-1] 石の大剣

 [WEAPON-2] ---

 [HEAD] ---

 [BODY] 初心者の胸当て

 [ARM] ---

 [LEG] 初心者の靴

 [ACCESSORY-1] ---

 [ACCESSORY-2] ---


----------------------------------

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