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427話 フレアドライブ/ギガント・ホームラン/六光一閃

 ミリオンズ対ラスターレイン伯爵家の戦いが続いている。

 サリエの過剰治療により、リールバッハにダメージを与えた。

 リカルロイゼが負けじと水魔法を放ってきたが、蓮華とマリアの活躍により防御に成功した。


「く……。まだまだいきますよ!」


 リカルロイゼはさらなる追撃を放つ構えだ。

 蓮華とマリアの活躍は見事だったが、防御をしたのみである。

 大元であるリカルロイゼをどうにかしないと、攻撃の手が止むことはない。


 再び蓮華やマリアに攻撃の対処を任せるのもいい。

 だが、ここはーー。


「術式纏装『獄炎滅心』」


 俺が前に出よう。


「ふん。その技はもう見切りましたよ。大した出力ではありませんでしたね」


 リカルロイゼが侮った口ぶりでそう言う。

 確かに、前回の戦闘ではさほど役に立たなかった。


 しかし、今回は違うぞ。

 どしゃ降りの雨が上がったし、ステータス操作によって俺の魔力強化のスキルをレベル5に伸ばしたからな。

 前回よりも出力は跳ね上がっている。


「いきますよ。……レインレーザー!」


 リカルロイゼから水魔法が射出される。

 水のレーザーが俺に触れる瞬間ーー。


「おらあっ!」


 俺は獄炎滅心の出力をさらに上げる。

 ジュワッ!

 水が高熱により、蒸発する。

 俺にダメージはない。


「バ、バカな……。高熱で水魔法が届かないなど……ありえません!」


 リカルロイゼがうろたえる。

 水魔法の発動が途絶えた。

 その上、動揺により棒立ちだ。

 スキだらけである。


「燃え爆ぜろ。フレア……ドライブ!」


 俺は爆速で移動し、炎を纏ったパンチを繰り出す。


「ぷげらっ!」


 リカルロイゼはそれをモロに受け、弾け飛んでいった。

 これで1人を撃破だ。


「ワンダウン~」


 俺は不敵にそう言う。


「ロ、ロイゼ兄様……。兄様の敵っ! ……アイスレイン!」


 シャルレーヌが水魔法を発動する。

 そして俺をかばうかのように、ミティが前に出る。


 前回は、あまりの連射性能に為す術もなくやられてしまっていた。

 ミティが疲労していたのもあるし、どしゃ降りによりシャルレーヌの水魔法が増強されていたのもある。

 しかし、今回はーー。


「ギガント・ホームラン!」


 バコーン!

 強烈なライナーがシャルレーヌを襲う!


 ピッ!

 ライナーはシャルレーヌの頬をかすめていった。

 彼女の頬に一筋のキズが入り、血が流れる。


「ひ、ひいぃっ!」


 シャルレーヌは恐怖に尻もちをつく。

 自分の顔のすぐそばを、超高速の物体が通り過ぎればそのような反応にもなるだろう。

 彼女はラスターレイン伯爵家で最年少ということもあり、実戦経験がやや乏しいだろうしな。


「トドメです! ギガント……メテオ!」


 ミティが岩を投げ飛ばす。

 狙いは、尻もちを付いているシャルレーヌだ。


 ドゴーン!

 岩は、シャルレーヌの少し横に着弾した。

 狙いが定まらなかったわけではなく、あえて外した感じだろう。

 投擲術レベル5のミティがこの程度の距離で外すわけがない。


「あ、ああ……」


 シャルレーヌが尻もちをついたまま、ガクガクと震えている。

 ……ん?

 彼女の股間のあたりが、何やら濡れているような……。

 いや、見なかったことにしておこう。

 彼女は戦意を喪失しているようだし、これ以上追い詰める必要はない。


 これで、リカルロイゼとシャルレーヌが戦闘不能。

 残るは、リールバッハ、マルセラ、リルクヴィストだ。


「君の相手はボクだ」


「ふん。俺に手も足も出なかったのを忘れたのか? 軽くもんでやるよ」


 リルクヴィストとアイリスが対峙する。


「もむだって? セクハラはやめてくれないかな……。そういうのはよくないと思うよ」


 アイリスがジト目でリルクヴィストを見つめる。

 少しめずらしい表情だ。

 俺もあの目で見つめられてみたい。


「ふむ……。アイリスの胸は、やや慎ましいが柔らかくて魅力的だ。しかし、俺以外の男にもませる気はない!」


 俺はビシッとそう言う。


「くっ! そ、そういう意味じゃねえ! 武闘で軽く蹴散らしてやるって意味だよ!」


「本当かなあ……」


 アイリスがなおもジト目でリルクヴィストを見る。


「え、ええい! ゴチャゴチャうるせえ! いくぞ、『氷竜氷牙』」


 リルクヴィストが術式纏装を発動する。

 口撃の応酬では敵わないという判断か。


「ボクもいくよ! 聖闘気『六聖の型』」


 アイリスが新技を発動させる。

 少し前の選別試験の時点では、『五聖の型』までしか発動できなかった。

 今回のスキル強化をさっそく活かしている感じだ。

 いきなり使えるということは、以前から練習はしていたのだろう。


 六聖の型は、聖闘気のいろいろな型を同時に発動させる高度な技である。

 迅雷の型、豪の型、流水の型、守護の型と……。

 残り2つは何だったか。

 最近では単体で発動することが少ないので、あまり個別の名称を聞く機会がない。


「くらえ! ……流水拳奥義、貫衝h……」


「六光一閃!!!」


 リルクヴィストの技を遮り、アイリスの超速の攻撃が放たれる。

 五光一閃ですら、選別試験でBランク冒険者のフレンダを一蹴したことがある。

 より上位の六光一閃に対応できる者は少ないだろう。


 ドゴーン!

 リルクヴィストが後方に弾き飛ばされ、倒れ込む。

 起き上がってくる様子はない。

 これにて戦闘不能に追い込めたと言っていいだろう。


 それにしても、アイリスのこの技は非常に頼りになるな。

 相手が技を出す前に封殺できる。

 欠点は、聖気や闘気の消耗が激しい点だ。

 前回のラスターレイン伯爵家との戦闘時のように、疲労困憊の状態では使用できない。


 今回のステータス操作で、アイリスは聖闘気術と体力強化を伸ばした。

 彼女が聖気や闘気、体力を使い果たすような局面は、以前よりもずっと考えにくくなっている。


「くっ。私のかわいい子どもたちを……。許しませんよ!」


 マルセラがそう言う。


「あなたの相手は私がするよ。前回のお礼をしないとね」


 マルセラに対峙するのは、モニカだ。

 俺も加勢に行きたいところだが、撃破済みのリカルロイゼの様子もうかがっておかなくてはならない。

 まあ、今のモニカならきっとマルセラにも勝てるだろう。

 彼女を信頼して任せることにしよう。

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