表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1704/1845

1673話 神器顕現:蒼月神楽

 ……君は?

 そう尋ねる間もなく、少女は剣を抜いた。


『神器顕現:蒼月神楽そうげつかぐら


「なっ……!?」


 刹那、蒼白い光が迸る。

 凍てつくような輝きが夜闇を裂き、視界を奪った。

 風が渦巻き、大気すら震えている。

 次の瞬間、嵐のような剣撃が襲いかかった。


 一撃。

 二撃。

 否――刹那にして無数の斬撃。


 目で追うことすら叶わない速さ。

 否応なく迫る刃の奔流に、俺は本能的に闘気を全開にして防御を固める。

 しかし――


「くっ……!」


 刃が触れた瞬間、ただの剣ではないことを悟った。

 重さがない。

 それなのに、精密かつ残酷なまでに鋭い軌跡を描き、俺の守りを容易く裂こうとする。

 刀身が肌をかすめた瞬間、体の内側を抉られるような錯覚に陥る。

 単なる切れ味の鋭さではない。

 まるで、魂そのものを削ぎ落とされるような感覚。


「この……!」


 圧倒的な力の前に、地面が抉れ、土砂が舞う。

 俺は後退を試みる。

 しかし――


「……っ!?」


 足が動かない。

 足元に広がる蒼の陣。

 絡みつく光の糸が俺の全身を蝕み、じわじわと締めつけるような感覚が広がっていく。


 重い。

 沈み込むような圧迫。

 全身が粘つくような力に絡め取られ、思うように動かせない。

 まるで蜘蛛の巣に囚われた虫のように、じわじわと自由を奪われていく。


「高志様っ!!」


 紅葉の悲鳴が耳を打つ。

 彼女の声に意識を向けた、その瞬間――

 鋭い閃光が、俺の視界を焼いた。


「がっ……!」


 少女の剣が、俺の胸を貫いていた。

 熱い。

 焼け付くような激痛が、全身を駆け巡る。

 だが、それだけではない。


 これは――魂ごと、斬られている……?


 剣が触れた瞬間、内側から崩れていくような感覚に襲われた。

 四肢の力が抜け落ち、地に足がついているはずなのに、現実から切り離されていくような錯覚。

 意識の深奥が裂けるような感触に、立っているのか、倒れているのかすら分からない。

 世界が揺れ、視界が歪む。


『揺るがぬ運命への反逆……。万象を清め、混沌を断ち切り、真なる道を指し示す――この神剣ならば、あるいは……』


 冷たく、淡々とした声。

 だが、その言葉に込められた意味は、計り知れぬほどの覚悟と、揺るぎない決意に満ちていた。


 抗えない。

 声すら出せない。

 俺の中で、何かが確かに断ち切られていく。


 魂が軋む。

 全身が軋む。

 ただ、それに耐えることしかできない。


 少女の攻撃は、まるで俺の魂を斬り裂くかのような痛みをもたらした――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ