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1613話 『闇忍』三人衆

「……失礼いたします。『闇忍』三人衆が一人、黒羽くろはと申します」


「同じく、幽蓮ゆうれんです」


水無月みなづき


 入ってきたのは、3人の女忍者だった。

 いや、少女忍者と言った方が適切か?

 黒い忍者装束を身に纏い、顔や手など肌が見える部分は全て布で隠している。

 詳細な容貌は分からないが、無月よりは年下だろう。


「ずいぶんと若いな。闇忍は人材不足なのか?」


「……主にも一因はある。例の件で、心に傷を負った者が何人もいるからな」


「あー、あれか……」


 俺が無月を撃破した際、彼女は自分の部下に始末されそうになっていた。

 冷静になって考えれば、闇の組織として必要な行為だったのかもしれないが……。

 その非道な行為に激怒した俺は、その場にいた闇忍を片っ端から撃破した。

 自分で言うのも何だが、俺はかなり強い。

 心的外傷を与えるのに十分すぎるほどに、圧倒的な実力差を見せつけてしまったのだろう。


「事情は理解した。だが、つまりはこの3人は半人前というだろう? 余り物の中から、有望な者を選べと?」


 俺は無月に問う。

 半人前を3人まとめて寄越されても、扱いに困るのだが……。


「確かに、そういった一面もある。だが、彼女たちが忍者として有望なのは確かだ。それに、若い少女の方が主の好みのはず」


「…………」


 おいおい。

 まるで、俺が片っ端から手を出す色情狂みたいじゃないか。

 まぁ、オッサンよりは少女の方が部下に欲しいけどさ。

 加護付与の件もあるし……。

 おぼろげな記憶だが、若い異性の方が忠義度が上がりやすく、年上の同性の方が忠義度が上がりにくかったはずだ。


「加えて言えば、この三人は精神的に甘い面がある。従来の闇忍の長としては不適格だ。しかし、主の配下となった今ならばむしろ甘い方が都合がいいだろう。だから、この中から次代の長を選んでいただきたい」


「ふむ……」


 俺は3人を見る。

 彼らは無月の言葉を聞いても特に反応せず、ただ静かに控えている。

 落ち着いているな。

 これなら、今後の期待ができそうだ。


「分かったよ」


「おお、では……」


「だが、その前に。お前たちは桜花の新たなる藩主――高橋高志の配下として、忠誠を誓えるか? 謀反者たる俺の配下になるのだぞ」


 俺は無月の言葉を遮り、3人の少女忍者に問う。


「は。我ら3名、藩主様に絶対なる忠誠を。闇忍の次なる長として誰を選定されようと、必ずお役に立ってみせましょう」


 黒羽くろはが代表して答える。

 他の2人――幽蓮ゆうれん水無月みなづきも、特に異論はないように見受けられる。

 ……が、それは表面上のものだ。


「俺も舐められたものだな」


「は……? 主よ、いったい何を……。――っ!?」


 俺の不穏当な物言いに、無月が驚いて声を上げかける。

 しかし、そんな言葉で俺は止まらない。


「あぐっ!?」


 俺は少女忍者の一人に、強烈な回し蹴りを喰らわせる。

 少女の体は吹っ飛び、天守閣端の壁に叩きつけられたのだった。

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