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1594話 早とちりの勘違い男

「それにしても、こんなことになるとはなぁ……」


 俺は呟く。

 桜花城を攻め落とした張本人は俺だが、あのときは無我夢中だった。

 振り返ってみても、まさかこれほどあっさりと攻略できるとは想定外だ。

 しかし、後悔はしていない。


「紅葉は……今の状況をどう思っているんだ?」


「状況、ですか?」


「ああ。ほら、俺がしでかしたこととはいえ……その発端は紅葉たちが道場からいなくなったからだろ?」


 俺はあの日の出来事を思い出す。

 あの夜、俺は闇の素晴らしさを受け入れ、城下町や桜花城の闇の瘴気を吸収して回った。

 そしてハイテンションで朝帰り……いや昼帰りしたところ、紅葉たちの姿が消えていた。

 俺は慌てて彼女たちを探し回り、そして桜花城にいるらしいことを突き止めて城攻めを決行したのだ。


「……これほどの大事になり、複雑な思いは正直なところあります」


「そうか……」


「でも、それ以上に嬉しいです。高志様が私のために、まさかお一人で桜花城を攻めるなんて……」


「まあ、アレは勢いでやったというか……。ああでもしないと、紅葉が帰ってこないと思ったからさ」


「ふふっ。高志様は本当にお優しいですね」


「……そんなことないさ。それに優しかったとしても、早とちりの勘違い男なことは否定できない。俺はただ、自分のために行動しただけだ」


 景春を撃破した直後は、闇によってテンションがマックスになっていた。

 しかし、それも時間が経てば少しばかり落ち着いてくる。

 程なくして紅葉たちが無事に目を覚まし、俺は彼女たちから事情を聞いた。


 景春が言っていたことは、概ね事実だった。

 ただ重要参考人として紅葉たちを招致しただけ。

 景春側が非難される要素があるとすれば、異変に関する早急な情報収集を優先したあまり、ちょっと手荒な手段を用いてしまった……。

 それぐらいにとどまる。

 桜花城への誘拐――もとい招致後は、丁重な待遇の元で平和的な情報収集が行われていたようだ。

 紅葉も流華も桔梗も、桜花七侍や一般侍に対して大した悪感情は抱いていない。

 ……俺の早とちりだったのだ。


「それでも……高志様は私の英雄です。ありがとうございます」


「お、俺もそう思ってるぜ! 藩主にもなんか事情があったみたいだけど、増税とかの恨みはすぐになくならないからな! あいつらをぶちのめしてくれた兄貴は、最高だ!」


「……私も。城を落とそうと思って落とせる人なんて、そうそういない。まして、一人だけで成し遂げるなんて……。刀を操る侍の一人として、その力量は純粋に尊敬する……」


「……そうか」


 俺は少し照れる。

 3人が俺に向ける視線は、情愛や尊敬の念に溢れている。

 これは自惚れではない。

 システム上でも、確たる証拠がある。

 それは……





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