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1567話 ダルマになるまで

「そ、その火妖術がどうした?」


「これは威力がそこそこあるんだ。お前の『散り桜』の防御力を貫通する程度には」


「なに?」


「百聞は一見にしかず……だな。ほら――」


 シュンッ!

 俺は超速で移動する。

 そして、景春の左腕に手のひらを押し当て、『豪熱球』を発動した。


「うぐぁっ!? く、くそ……!」


「ほう? やるじゃないか。俺の『豪熱球』を耐えるとは……。純粋な妖力による防御か。反応速度も悪くない。ちょうど、俺の『豪熱球』をかろうじて耐えられるぐらいの防御力だな」


 俺は感心する。

 俺が彼の左腕に手のひらを押し当てた瞬間、彼は妖気を左腕に集中させた。

 そして、『豪熱球』を受け止めることに成功したのだ。


 血統妖術『散り桜』に対して、俺の火魔法は相性がいい。

 ダメージを受けたところが桜の花びらに変化する術は、無効化される。

 だが、個別の妖術を発動する前の純粋な妖力には、属性の相性はないのだ。


「ふ、ふふふ……。余は生まれながらに次期藩主となる存在だった……。血統妖術以外にも、一通りの武芸を習得しているのだ。これぐらいの防御は造作もない」


「ほー……。それは凄い」


 俺は感心した。

 彼は10代前半。

 これまでの悪政の印象もあり、てっきり『バカ殿』のような存在だと思っていたが……。

 そこそこ程度には優秀らしい。


「やはり、死なせるには惜しい……。単に俺の信念だけの話ではなく、俺が藩を乗っ取った後にも有効活用できそうだ。この『豪熱球』で、お前を屈服させてやろう」


「馬鹿め。貴様の火妖術は既に見切った。余に通じぬのは、先ほど見せた通り……。何度やっても同じだ」


「そいつはどうかな?」


 俺は再び、景春に見せつけるように手のひらを上に向ける。

 ただし、今度は右手だけじゃない。

 左手もだ。


「なっ!?」


「悪いな。俺の腕は2つあるんだ」


 俺は景春ににじり寄る。

 瞬足で動くことも可能だが、彼の恐怖心を煽るためにあえてゆっくり動いた。

 これは肉体ではなく、心を粉砕する戦いだ。


「予告してやろう。最初は、お前の両腕を同時に攻撃する。守りたい方に妖力を集中させて耐えろ」


「な、何を……」


「次は、残った方の腕と右足を同時に攻撃する。守りたい方に妖力を集中させて耐えろ。それをひたすらに繰り返す。……お前が、ダルマになるまで」


 俺は淡々と言う。

 自分の四肢が欠損していく恐怖……。

 それを味あわえば、彼だって降伏してくれるだろう。


「くっ……! よ、よよ、余は桜花景春なり! 脅しに屈することはない! やれるものなら……やってみよ!!」


「では……」


 俺は彼の両腕を掴む。

 そして――

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